エコーチェンバーとは?
最近、フィルターバブルと並んで聞くようになった「エコーチェンバー」、一体どのような事象でしょうか?
エコーチェンバーとは、ソーシャルメディア(SNS)を利用する際、自分と興味関心が似ているユーザーをフォローすることによって、SNS上で意見を投稿すると、自分と似たような意見ばっかり帰ってくる、という現象です。あったかも小さな部屋(チェンバー)の中で自分の声がこだま(エコー)してくるかのようなイメージから名前が由来します。
偏った考え・意見ばかりが集約され、あっという間にSNSの(特に)若いユーザーの間で広がるため、エコーチェンバー現象は、近年SNS上で問題視されています。
確かに、SNS上で人とのつながりを持ち、共感したもらうこと、共通に趣味を楽しむことに意味を見出す人も多いでしょう。しかし、そこには思わぬ落とし穴があります。もし自分が「社会的に間違っている意見」あるいは「勘違い」を以て地たら、どんどんSNS上で同調してもらっているうちに、「自分が間違っている」という可能性を全く疑わなくなり、間違った思い込みにどんどん潜り込むことになります。
SNSは身近な存在であるからこそ、生活や社会に大きなインパクトを及ぼし得るのです。
類似現象のフィルターバブル
もう1つ、ユーザーがAIから受ける影響として、フィルターバブル現象があります。レコメンドのアルゴリズムによる嗜好の分析に基づくパソナライズが強すぎて、ユーザーにとって有益な情報ばかりが優先された結果、その他の情報から乖離した状態に陥ってしまう状況を指します。
フィルターバブルの1つわかりやすい例を挙げると、検索サイトで検索したいことのキーワードを打ち込むとすぐに、「あ、確かにこれは重要そうだ」のような情報が優先的に表示されます。これは便利であるのと同時に、インターネットから一部の情報を遮断されている事態です。
エコーチェンバーも同様に、自分とは異なる意見が自然と遮断されてしまっています。
エコーチェンバーとフィルターバブルの関係性
フィルターバブルも、エコーチェンバーも、特定の分野の記事にばっかり注意を向けさせるとか、特定の団体だけ存在が強化されるとか、無意識に我々は意識にバイアスがかかってしまいます。
ただでさえ、人間は思い込みを持ちやすく、しやが狭くなりがちですが、エコーチェンバーやフィルターバブルによってその狭さが加速させられ、「考える」「疑う」「発見」の機会をますます失ってしまいます。
政治の分野でも起きる可能性があり、これは国の政策を疎外し深刻な問題になりそうです。社会の分断を深めるリスクも想像できますね。その代表例は2016年のアメリカ合衆国大統領選挙の際に起きた現象です。この時、ウェブの世界で大統領選挙の候補に関する個人の意見が溢れて、選挙結果にまで強い影響を及ぼしたと言われています。これよりもさらに恐ろしいのは、陰謀論が広がってしまい、いつの間にかその陰謀論を真実と大勢が信じ込むことによる、2021年のアメリカ合衆国の議会乱入事件です。
AIやSNSの利用者の私たちが、エコーチェンバーやフィルターバブルの犠牲者にならないためにできることとして、以下が挙げられます。
- エコーチェンバーやフィルターバブル現象が今起きている?と意図的に疑う
- 自ら、あえて幅広い情報に触れる、あえて自分と異なる意見にも積極的に目を向ける
- 履歴の残らないシークレットブラウザで検索を行う。