AI

AIは人類を超える文学を創ることができるか

AIが人間の創造性をアシストする流れに非常に興味があり、また関連するニュースがあったのでとりあげてみました。今回は言語処理系のArtNewsです。

続・AIは人類を超える絵画を描けるか1年半前に以下の記事を書いたのですが、ちょっと関連するニュースがあったのでとりあげてみようと思います。 https://gri.j...

AIによる脚本生成~フルコト

ログライン(脚本を一言で言い表す文章)を元に、文学作品やインターネット上の文章を学習し単語同士の相関関係を分析するAI「フルコト」が脚本を生成して映画を作ったとのことです。

作品の内容的には正直まあそんなところかという感じではありますが、「シェフ・ワトソン(独創的な料理を生み出すアプリケーション)」のように「人間の創造の枠を外す」ツールとしては使える感じがしています。

「背中から植物の芽が生える!? “AI脚本家”の発想」https://www3.nhk.or.jp/news/html/20220516/k10013625691000.html

株式会社Ales(自然言語処理を中心としたAI開発会社)
https://ales-ai.com

AIによる俳句作成プロジェクト~AI俳句協会

2019年7月と少し前になるようですが、上記のAI開発者 松原 仁 氏がAIで俳句を生成するプロジェクトを立ち上げているようです。

一応、俳句とは五・七・五の十七文字からなる世界でも最短の定型詩で、文字が少なくリズムに合わせ簡単に作れると思いがちですが、情景を描くために文字を取捨選択しなければならない人間ならではの技術がいると思います。

早速ざざっと見たところ気になる一句は以下でした。

出典:AI俳句協会

……え、ふつうに良いんだが……
個人的な解釈としては初恋で始めて燃え上がった炎はやがて焚火の跡となり、それを横目に比較し思い出しながら次の恋へと歩んでいる、というなんか切ない一句だなと。

興味深いのは開設に関するリリースで以下のような内容です。

・俳句とは作品を作るだけではなく批評して成長していくもの
・その為このAIでは作成と評価の両輪で開発を進める
・作成はある程度できるが、評価は課題となる
・評価プロセスのデータ収集のため本協会とサイトをリリース

AI俳句協会設立のお知らせ

まさに以前絵画をどう書くかでも気になった「評価」が重要になるという点です。

AIは人類を超える絵画を描けるか 最近、以前の同僚が「面白いので見て」と言っていた海外ドラマの「シリコンバレー」を夜通し見ており、現在シーズン5に差し掛かっていま...

ピアニスト清塚信也氏が出演していたある番組で以下のような会話を耳にしました。
・古典や伝統芸能の世界で変えることは「嫌がられる」
・ただし古典を真剣に理解する努力の元に考え抜いて変えることは正義
・伝統で残っていくものも常に変化はしている

おそらくトレースすることが得意な機械やAIに足りないものはこの「真剣に理解する」という点。大量の情報をただ詰め込んだだけではなく、そこには人間がやっている何か、
言語処理でのネガティブ/ポジティブ判断のような感情情報の紐づけや分類の仕方にヒントがあると考えています。

想像と創造のロジックが紐解ければもう一段階深いArtが作成される世界が来ると思ってます。

 

今回もアート制作がテクノロジーで進化している兆しが見えており、ますます界隈のニュースから目が離せません。次回はAIが作る音楽あたりをレポートしようと思います。

※全然関係ありませんが、先日有機的なインダストリアルデザインで時代の先端を行く山中俊治氏の作品展に行きました。展示物少なめですが以下のようなデザインに興味あれば刺激されますので是非行くべきかと、2022.07.18まで。

  
IMT  特別展示『プロトログ――山中俊治デザインの発生学』
http://www.intermediatheque.jp/ja/schedule/view/id/IMT0250/

hiroyoshi usui
ディレクター、Keep it simple, stupid.