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データサイエンティストが知るべきビジネス用語#1:ビジネスモデルとプレイヤー

データサイエンティストはどんな仕事をしているのか?

データサイエンティストは普段どんな仕事をしているのか、について以前このような記事を書きました。

データ分析官は普段どんな業務をこなしているのか

データサイエンティスト(データ分析官など)の仕事の目的は今でも明確に伝わっていないと思います。

我々がしていること(すべきこと)は「データを分析する」だけではないことです。

以下の一連のことを達成する必要があります。

  • クライアントから経営課題をヒアリングし理解する
  • 経営課題を解決するために、課題を具体的な分析業務に落とし込む =  仮説を立てる
  • データを保管し分析するための環境や基盤を整える
  • データを分析する(データの収集、加工、分析) =  仮説検証
  • 分析結果を報告書にまとめる
  • 分析案件の依頼者に結果をわかりやすくプレゼンする
  • 分析結果をビジネスや社会全体に有益に活用する手段を考案し、そのためのシステムを開発する
  • データ利活用システムの運用・保守

※ 一部のデータサイエンティストは上記の仕事をサポートするためのアルゴリズムの研究開発にも携わっています。

データサイエンティストに必要なビジネススキル

上からわかるように、データサイエンティストの仕事はビジネスとも深く関連しています。

下図は「データサイエンティストに必要なスキルセット」を著したVenn図です。この記事シリーズでは、「ビジネススキル」を中心に幾つかのトピックスを取り上げます。これらは私自身がデータサイエンティスト(データを利活用するデータコンサルタント)として意識していきたいことでもあります。

改めて、データサイエンティストとして、ビッグデータの収集や 加工、分析を行うことで、ビジネス上の課題を解決し、事業の利益に貢献することが求められています

データサイエンティスト協会では、ビジネスを「社会に役に立つ意味のある活動全般」と定義しています。分析結果がビジネスにどのようなインパクトをもたらすか」を意識しながらデータ分析プロジェクトを進めることが重要です。

ビジネスにおける現状理解

1つのデータ活用プロジェクトの中で、 課題定義から結果報告までを行う必要があります。一般的に以下の順番で進めます。

課題定義と仮説立案 → 仮説検証 → 検証結果の評価を報告

最初の「課題定義と仮説立案」では、ヒアリングを元にプロジェクトの目的・目標を定め、それを達成するための仮説を立てます。さらに細分化されたステップは以下となります。

  • 現状を把握
  • 必要な情報を入手する
  • 課題の定義
  • ゴールやKPI の設定
  • 仮説の立案

1つ目の「現状を把握」に関していうと、分析を依頼するクライアントの業務全体を俯瞰し、その業界構造を理解することが求められています。ここで「業界」とは例えば、保険、建築、食品メーカー、金融、ポイントカード会社のようなビジネスの分野のことです。

その上で具体的な課題を整理します。例えば以下のような要素です。

  • 自社における様々な経営指標(売り上げ、利益率、成長率など)
  • 競合他社の動向、同業者におけるポジショニング
  • 競争優位を保つ上でどんな強み、懸念点、脅威があるのか
  • どのような顧客がどのような価値に対してどれくらいの金額を支払ってくれそうか

まとめると、市場規模・プレーヤ・ビジネスモデルを理解する必要があるといえます。

今回の記事の残りでは、「ビジネスモデル」と「プレイヤー」について簡単に説明します。

■ビジネスモデルとは

ビジネスモデルとは、商品やサービスなどによって付加価値を提供し、それによって収益を獲得するための仕組みと考えることができます。正しいビジネスモデルは、事業で利益を生み出し、企業価値を高め、成長し続けるために必要不可欠です。

ビジネスモデルをつくる上での考慮すべきポイント:

  • 誰に(Who):ターゲット顧客は誰なのか、既存顧客と開拓したい新規顧客
  • 何を(What):顧客にとってどのような価値を提供するのか、自社の強みは何?
  • どうやって(How):どのようにしてその価値を提供するのか、自社の強みをどう生かせるのか、競合他社にどう勝てるのか
  • なぜ(Why):なぜそれが収益をもたらすのか

市場競争が激しい中で企業が勝ち残るためには、Who、What、How、Why、の4つの要素について、当該企業特有の強み(core competence ; コア・コンピタンス)を確立させることが必要となります。

■プレイヤーとは

プレイヤーとはそのビジネスに関わる全ての人たちです。

ポイントカード会社を例にして説明します。ポイント付与の際に残される顧客の購買パターンから、分析を通じて売上向上につながるインサイトを生み出し、その情報を利用したい業界に販売することで収益を得ることができます。ポイントカード会社におけるプレイヤーは、カード利用者、カードの導入・加盟店舗(コンビニ、ホームセンター、スーパーなど)、競争相手など他のカード会社が挙げられます。

 

本記事シリーズの#2,#3 では、データ分析プロジェクトにおける「情報の収集」と「課題の定義」について話していきたいと思います。

担当者:ヤン ジャクリン(分析官・講師)

yan
データ分析官・データサイエンス講座の講師