前回記事の続きです。前回紹介したものより、使いどころが限定的な図が多い。

チャートの特徴・用途の解説―特定用途で使うもの編―
ツリーマップ

特徴:1つの数を1~複数の項目で分解して、項目が占める割合を面積で見られる。100%積み上げ棒グラフと違い、分解する項目が増えても見にくくなりづらい。
用途:多くの項目で分解して構成比を見たり、割合同士を比較したいときに最適
画像は売上金額の商品カテゴリの構成比を四角で区切られたところの面積で表しています。
商品のサブカテゴリ毎まで構成比を出していて、親カテゴリを色で塗り分けています。
このようにある面積で表すことで、数を細分化しつつ見やすく表現するのに適しています。
バブルチャート

特徴:1つの数を1~複数の項目で分解して、数の大きさを円の大きさ(直径)で見られる。
用途:多くの項目で分解したときの数の大きさを見たり、比較をしたいとき。
注意:項目が増すぎると描画に時間がかかる。集合体っぽくなって怖くなる。
画像はサブカテゴリ毎の売上金額を円の大きさで表し、親カテゴリを色で塗り分けています。
円をおさまりが良い位置や大きさに計算するのが大変なのか、ツリーマップより表示が明らかに遅くなります。
円グラフ・ドーナツチャート

特徴:1つの数を1~複数の項目で分解して、数の大きさを円の大きさ(直径)で見られる。
用途:1つの数の大きさや割合を見たいとき。
注意:見る項目が多いときは不適。円グラフ同士で比べるのに不適。比較は100%積み上げ棒グラフの方が良い。
画像は売上金額に占める商品カテゴリの割合を円周の長さで表しています。
円グラフはよく見られるチャートですが、数の表現方法としては大半のチャートに劣ります。
人は円周を比べるより、長さを比べる方が得意だからです。
そして、離れているものより、隣接するものを比べる方が得意です。
円周を離れている状態で比べるという、人間の不得意と不得意を組み合わせたとんでもね~グラフ、それが円グラフです。
角度でも比べられますが、「中心角」という微小な差を検知して比較する必要があり、これも人が不得意とするところです。
どうしても円グラフを使うなら、以下のドーナツチャート形式が推奨されます。

画像は円グラフの中心を空白にし、総売上金額を表示したものです。
白い部分があることで、内側で円周が隣接する効果があります。
また、塗り分けられた円の面積ではなく、円周の長さに注意が行くようになっており、項目間をより比較しやすくする効果もあります。
中心に表示するものが無くてもドーナツ状にしていいと思う。
ガントチャート

特徴:期間の長さをガントの長さで表し、横軸の位置でガント同士の時間の前後関係を表す。
用途:スケジュールの管理や事象の頻度を見たいとき。
画像は横軸に各オーダーの注文日を取り、配達にかかる日数をガントの長さで表しています。配送方法の違いを色で表しています。
ガントが集中していたり、長いと配送まわりが忙しそうな期間だなというのが分かります。
Water Fall(滝グラフ)

特徴:1つの数を項目ごとに順に横方向に積み上げ、その項目の大きさを棒の長さで表す。棒の開始位置は前の項目までの累計を表す。
用途:全体の数と、項目ごとの大きさを比べたいとき。
ガントチャートの亜種です。Tableauでは、滝グラフはガントチャートの作り方を流用して作ることができます。
画像は商品カテゴリごとの売上金額を棒の長さで見ており、棒の開始位置が前の商品カテゴリまでの累計、棒の終了位置が自分を含めた累計金額になっています。
サブカテゴリまで分解していて、親カテゴリは色で塗り分けています。
売上に対する商品カテゴリの寄与状況が分かります。
箱ひげ図

特徴:ヒゲと箱で構成された図の各位置である数の最大・最小・四分位数を表す。
用途:ある数の分布の傾向を一度に見たいとき。
注意:数字に強い人向け。
画像は購入者の売上個数の分布を点で表し、箱ひげ図で最大・最小・四分位数を表しています。
最大・最小・四分位数が分かれば、売上個数の傾向が分かります。
箱ひげ図は見方が分かれば、最大・最小・中央値…と列挙しなくて済みます。
また、それぞれの数値指標の位置関係がわかるため、全体の傾向がより理解しやすくなります。
表の使いどころ
表は数字の羅列に一番近いチャート(?)です。
どのチャートの用途にも当てはまらないときや、数字を要約しないで見たい人に対して見せるのには有効です。
数字を要約してあげたほうが伝わりやすいのか、要約せず列挙したほうが分かりやすいのかで使い分けると良いです。
チャート選びのコツ
これまでで記述した特徴・用途に合致すれば、そのチャートを作ってみるといいと思います。
合致するか分からない、という時はデータの理解が進んでいないと思うので、
分析したいことって何だろう?
持っているデータ列は何を意味するのだろう?
というところに立ち返って考える必要があると思います。
分析したいこと、データ列の意味がはっきりしているときで、よいチャートが見つからないときは、特定の用途に特化した複雑なチャートの作り方や、分析方法を探してみるといいと思います。
終わりに
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