DS検定

ビジネス課題の整理にMECE

ビジネスにおける解決すべき課題は複雑な構造をしています。情報を整理し課題を定義するために活用されるのは、論理的思考の一種であるMECEMutually Exclusive, Collectively Exhaustive”です。

MECEとは

MECE(※発音「ミーシー」)はビジネスによく利用されるロジカルシンキングの重要な考え方です。その意味は以下です。

  • 個々に 「重複 (ダブリ)」なく (Mutually Exclusive)
  • 全体的に見て「モレ」がない (Collectively Exhaustive)

MECEを用いて複雑な課題を小さな要素に細分化して考えることにより、本質を発見し、課題解決の糸口が見えてきます。

ちなみに、MECEは『データサイエンティスト検定™ リテラシーレベル』(略称:DS検定™ )にも頻出のワードです。本記事でMECEの理解を深めましょう。

MECEの目的・メリット

MECEを目指すことで、例えば、以下のようなことを達成しやすくなります。

  • 総合的な視点から状況を考え、全体像がつまみやすい
  • 物事の構造を明らかにし具体的な原因および解決策を見出す
  • 網羅的に・効率的にビジネスの課題を洗い出し、アプローチを導き出す
  • 要素の重複 (ダブリ)とモレをなくすことで、無駄をなくし、説得力を増やす
  • 提案の根拠を論理的に説明する
  • これまで意識できていなかった部分に気づく

モレや重複が生じている例

(例)通信会社が潜在顧客を「iPhoneユーザー」または「Androidユーザー」と分類すると漏れが生じる。なぜなら、ガラケーユーザーや携帯電話を使わない人もいるので。

(例)食品メーカーが家族向けの新作お菓子がどのような人に人気があるのかを調査:「母親」「父親」「祖母」「祖父」「子供」と調査対象を分類すると重複が生じる。なぜなら「母親」と「祖母」のように役割がダブることがあるので。

MECEの具体的な手法

ロジカルシンキングとは、主張と根拠をピラミッド構造で積み重ねていく論理的思考法ということができます。ロジカルシンキングのためのフレームワークが多数あり、それらを利用すると、枠にはめていくだけでMECEが実現できます。

全体的な目的を設定 → 要素を様々な切り口で洗い出す → 要素を細分化・構造化

この時、各ステップで重複が生じないように注意することが重要です。

MECEとロジックツリー

MECEにおいて、要素の親子関係を「ロジックツリー」の形式に整理すると効果的です。上位概念と下位概念に論理的に構成する手法であり、物事の構造に広がりと深さを持たせる効果があります。

ロジックツリーには複数タイプがあります。

  • WHATツリー:要素を段階的に分解・構成する
  • WHYツリー:問題の原因を掘り下げる
  • HOWツリー:解決策を探る(目的と手段)

 

下図がMECEを意識したロジックツリーの一例です。

この例では、商品の開発と販売の改善点を見つけるために、顧客満足度を調査し、満足要素・不満要素を、機能、売り方、価格などの切り口でMECEになるように細分化します。

MECEにおける注意点

1つの階層に項目が多すぎないようにすることを意識しましょう。感覚的に5個くらいまで、が目安です。

また、MECEの完全性を追求しすぎないことも重要です。分類が細かすぎると逆にわかりにくく、本質が見えてこないことがあります。「その他」という分類も許せることがあります。

 

担当者: ヤン ジャクリン(分析官・講師)

yan
データ分析官・データサイエンス講座の講師