過去に、OBSを使った配信について記事にまとめています。
今回は、OBSとYouTubeとNDIを組み合わせて配信する方法についてまとめていきます。配信用PCと資料クリッカー用PCを分けた構成にするため、NDIを使用した構成になっています。
形式の想定
この配信方法は以下のような形式を想定しています。
- セミナー(座談会形式)
- 複数名同時に登壇する
- 資料を投影する
基本設定
まずは、事前準備として以下の設定を行います。
YouTubeにログイン
まずは配信先であるYouTubeにログインします。事前準備として、「チャンネル作成」と「ライブ配信へのアクセスのリクエスト」が必要です。
「チャンネル作成」と「ライブ配信へのアクセスのリクエスト」に関してはこちらの記事で詳しく説明されていますので参照ください。
配信ができるようになるのは「ライブ配信へのアクセスのリクエスト」を送ってから24時間前後かかる場合があるため注意が必要です。
OBSのダウンロード
配信用PCと資料クリッカー用PCの両方にダウンロードします。使用するPCの環境に合わせてWindows版またはMac版をダウンロード、インストールしてください。
NDIのダウンロード
配信用PCと資料クリッカー用PCの両方にダウンロードします。「NDI® Tools ダウンロード」ボタンからNDI.videoウェブサイトにアクセス後、使用するPCの環環境に合わせてWindows版またはMac版をダウンロード、インストールしてください。
機材リスト
実際に今回ライブ配信をした際に使用した機材は以下の通りです。配信の形式に合わせて追加したり省いたりすることを想定しています。
名前 | 備考 |
---|---|
配信用PC | OBS/NDIインストール済みのもの |
資料クリッカー用PC | OBS/NDIインストール済みのもの |
カメラ | HDMIケーブル接続対応のもの |
マイク | 登壇者の人数に合わせて調整 |
ミキサー | |
キャプチャーボード | |
HDMIケーブル | カメラ→キャプチャーボードを繋ぐケーブル |
給電ケーブル | PC・カメラの給電で使用するもの |
USBハブ | PCのUSBポートが不足する場合に使用 |
PCの推奨スペック
配信PCと資料クリッカー用PCの両方とも以下のスペックが推奨とされます。今回の配信想定はセミナーなのでこれくらいでOKですが、ゲーム配信などの負荷の高い配信をする場合はさらにスペックの高いPCが必要になると思っておいた方が良きです。
項目 | スペック |
---|---|
OS | 最新のWindows OS |
CPU | Intel® Core™ i7シリーズ以上 |
メモリ | 16GB以上 |
GPU | NVIDIA® GeForce RTX™ 40シリーズ |
ストレージ | 500GB~1TBのNVMe SSD |
配信設定
準備
- 当日使用する機材系をすべて用意する
- 当日使用する資料などを資料クリッカー用PCに入れておく
- USBハブなどを使用する場合はコード類を繋いだ後にUSBポートをマークしておく
OBSのセットアップ(配信)
シーンコレクションの設定
シーンコレクションを設定することで配信に合わせてシーンやソースを呼び出すことが可能です。
- 「シーンコレクション」>「新規」をクリック
- 任意の名前を入力
各シーンの設定
待機画面や配信画面などを用意します。表示させたいソースを設定していきます。
シーンの参考:
– 待機画面
– 配信画面
– カットごとに設定しておく(例:資料メイン/カメラ映像メイン)
– 配信終了画面
- 新規シーンを追加
- 表示したいソースを追加
- 必要に応じて音声ミキサーの調整
配信設定
YouTubeで配信しますよ、ということを設定します。
OBS画面右下「設定」>「配信」を選択し、赤枠内の項目を設定します。
項目 | 設定値 |
---|---|
サービス | YouTube – PTMPS |
サーバー | Primary YouTube ingest server |
アカウント接続 | 配信に使用するYouTubeアカウント |
【重要】キーフレーム・ビットレートなどの設定
映像や音声が途切れたりカクついたりするのを防ぐため、配信プラットフォーム(今回はYouTube)に適した配信設定にしていきます。以下はYouTube Liveに適した配信設定です。
出力設定
OBS画面右下「設定」>「出力」>「配信」タブを選択し、赤枠内の項目を設定します。
項目 | 設定値 | 備考 |
---|---|---|
エンコーダ | NVIDIA NVENC H.264 | 配信する際のエンコード(映像を作る工程)をどの部分が担うかの設定。PCによってエンコーダの種類は異なるが、「NVIDIA NVENC H.264 > H.264 > QuickSync」の順番で画質が高くなる。 |
レート制御 | CBR | |
ビットレート | 4500 Kbps | 1秒間あたりに伝送される配信のデータ量のこと。ここを小さくすると配信が軽くなる。初期設定では2500Kbps。セミナー(資料やデモ映像、カメラ映像)程度なら4500KbpsでOK。FPSとかゲーム配信は9000Kbps以上が推奨値。 |
キーフレーム間隔 | 2s | 配信している映像データを何秒間隔でリフレッシュし、新しいデータに置き換えるかの値。2sがYouTube推奨値。 |
プリセット | Quality | Max Qualityが最高品質、Low-Latency Performanceだと最低品質の映像になる。 |
プロファイル | high |
音声設定
OBS画面右下「設定」>「出力」>「音声」タブを選択し音声ビットレートを128に設定します。(※YouTube推奨値)
映像設定
項目 | 設定値 |
---|---|
基本解像度 | 1920×1080 |
出力解像度 | 1920×1080 |
FPS共通地値 | 60 |
参考:
【プラスアルファ】OBSのセットアップ(録画)
OBSプラグインのSource Recordを利用することで、ソースごとに録画することが可能です。後から編集する用として使用できるので、設定しておくのがおすすめです。
Source Recordをダウンロードする
録画したいソースを設定する
- 録画したいソースの上で右クリック、「フィルタ」を選択
- エフェクトフィルタから「+」をクリックし、「Source Record」を選択
自動録画の設定を確認
録画開始のタイミングや、動画の保存先、ファイルの命名規則などの設定を確認します。詳しい手順は以下のリンク先よりご覧ください。
参考:
資料クリッカー用のPCセットアップ
NDI(Network Device Interface)を使用して、有線接続なしで配信用PCに映像を送ります。
NDI (ネットワークデバイスインターフェイス) は、米国 NewTek 社によって開発され IP 利用における新しいライブビデオ制作ワークフロー支援プロトコルです。この NDI テクノロジーを活用することで、一般的なギガビットイーサネット環境においても、映像、音声、メタデータを、NewTek 社 TriCaster や IP シリーズ などのシステム間だけでなく、NDI 互換のさまざまなシステム、デバイス、PC などとのリアルタイムによる相互伝送を可能とします。
接続したいPC両方とも同一のネットワークに接続することが前提条件になります。
資料クリッカー用PC:OBSでNDIを使用し出力設定
- 「ツール」>「NDI™ Output settings」をクリック
- 「Main Output」にチェックを入れて適当な名前を入れてOKをクリック
配信用PC:NDIで送られた映像ソースを追加
- ソースの「+」ボタンをクリックして「NDI™ Source」を追加
- ソース名を設定
- 「NDI™ Source」のプロパティを設定
項目 | 設定値 | 備考 |
---|---|---|
Source name | 任意の名前を選択 | 先ほど資料クリッカー用PCでつけた名前を選択 |
Bandwidth | Highest | |
Sync | Source Timing or Networkを選択 | どちらでもOK |
Latency Mode | 資料クリッカー用PCで音を出す場合:Low(experimental) 資料クリッカー用PCで音を出さない場合:Normal(safe) |
YouTubeの配信設定
YouTubeでの配信設定についてはこちらの記事で紹介していますのでご覧ください。
OBSとYouTubeの配信設定をリンクさせる
- OBS右下のコントロールから「配信の管理」をクリック
- 「既存の配信を選択」タブをクリック
- 先ほど設定した配信枠が表示されるので選択
配信する
ここまで準備ができたら、あとは配信するだけです。YouTube側で配信を開始し、OBS側でも配信を開始させて配信をスタートします。
機材構成の例
実際に今回OBS×YouTube×NDIで配信を行った際の構成イメージ図になります。
配信用PCと資料クリッカー用PCを分けることで、以下のようなメリットがあると考えています。
- PC単体の負荷を軽減する
- 登壇者側から資料のページ送りなどの操作ができるようにする
まとめ
今回はOBS×YouTube×NDIで配信する方法についてまとめました。OBSを使うことで配信形態の可能性が一気に広がります。Web会議っぽいセミナーから臨場感のある配信に差別化していくことで、より参加者の興味関心を高めたセミナーの実現に繋げることができるのではないでしょうか。