こんばんは。今日は満月ですね。
ファミレスを享受した話
最近、月刊湿地帯様の『ファミレスを享受せよ』というゲームをクリアしました。
終わらないファミレスに閉じ込められてしまった主人公と、色々な事情を持った先客の住人との交流を通して話を読み進める、ノベルゲームっぽい作品です。先日、大々的に勧められてやってみることにしました。
ムーンと名にある通り、しっとりした夜の影がちらつく展開、それでも最後は心から良かったと思える温かい月明かりのような作品でした。
このゲームは推定プレイ時間30分~と書いてありますが、実際5時間くらいかけてクリアしました。こんなに時間をかけた理由は、単純に楽しかったからというのもありますが、それ以外にもあります。
その理由は様々なゲームにおいても発生するものですが、そのハードルをやすやすと乗り越えてきたこのゲームのとある演出について語っていきたいと思います。
この記事にネタバレはありませんが、ゲーム内でのネタバレの扱い方について言及しています。
周回プレイってつらい
みなさんはゲームにおける周回というものをご存知でしょうか?例えば、レベルを引き継いだ状態で物語の初めからやる、いわゆる「強くてニューゲーム」をすること。その特典で出てくる強敵や難関クエストの達成、分岐のあるストーリーならそのエンディングの回収などの目的で行われるものです。
身も蓋もないことを言いますと、私は周回プレイが苦手です。エンディングが何種類もあると言われても、周回特典の追加イベントが面白いなど言われても、そこに至るまでの大半で同じことをやる労力を思うと食指が動きません。
このゲームの場合は、エンディングは2種類と書いてあります。
つまり、エンディングの回収のために2周目(または、途中セーブから読み込んで再プレイ)をすることになります。
ええ、私の苦手な周回ってやつです。平時の私ならやっていないでしょう。開始時にもそう思っていましたし、なんなら終盤までずっとそう思っていました。
エンドロールを見るまでは……。
エンドロールがネタバレの嵐
このゲームのエンドロールは演出こそシンプルながらもすごい。
十人程度の少ない登場人物が「主人公 ○○」みたいな感じに流れるだけの極めてシンプルな構成なのですが、その役職の部分が物語の核心に触れることを全く恐れていません。
例えば、何の変哲もない一般人キャラに対して、「1万年生きている A子」といった具合で、ぶっこんだ役職をしれ~っと流してきます。
まさにネタバレ祭り
一般人が1万年生きているわけないじゃない
そして、この情報は大概通常ルートの作中では明かされません。エンドロールで初めて明かされた情報によって、何がどうなっているの?と気になったまま終わってしまいます。
気になってしまったら人間はどうなるでしょうか?
当然、真相を見るまでは終われませんよね。ええ、周回しましたとも。
周回苦手な人間に対して、気になる情報をばらまくことで知的好奇心を刺激し苦痛なく周回プレイを促すエンドロールはまさに策士でしたね。このゲームで一番やられたな~と思ったポイントです。物は使いようですね。
心理を利用する方法はデザインやその他の方面でも生かせそうな印象があります。もちろん、一歩間違えれば悲惨なことになるので、扱うには相応の知識が必要になりますが。このエンドロールは作品の雰囲気にも合っており、シンプルながら面白い演出で気に入りました。
……。
え?それで結局、1万年生きているA子ってなんなんですか、って?
安心してください!そんな人は作中にいません。
今日は満月、これを読んでエンドロールが気になった人は、ぜひファミレスに行ってみてください。
『ファミレスを享受せよ』 制作:月刊湿地帯/おいし水