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見える化-2  えっ?ハミガキって腸活よりすごいの!? 

こんにちは、プランナーのSALTYです。サプリメントアドバイザー、シニアメノポーズカウンセラーの資格(NPO法人更年期と加齢のヘルスケア学会所属)を有していますので、健康をテーマに情報をご提供します。

前回は、定点観測をすり抜ける「隠れ糖尿病」についてでしたが、糖尿病には、大きく2つの要因があるといわれています。一つは「体質=遺伝的な要素」、そして、二つ目が食習慣、運動習慣、休養のとりの方、嗜好(飲酒や喫煙)など、日ごろの「生活習慣」が原因となって起こります。そのどちらも、早期発見、生活習慣の改善が必須です。コモンリスクファクターの概念

健康診断では見つけられない、自覚症状もないまま、多くが深刻化、生活習慣病を発病してからの受診となり、医療費も増え社会課題となっています。現状の自分のコンディションを正しく知りや生活習慣病のリスクファクター(危険因子)を断ち切ることで、予防は可能です。今回テーマにしているお口のケアは重要な予防対策です。口腔の疾患はさまざまな全身疾患と関連していることが報告され、口腔の健康状態は全身的な健康状態と密接な関連があるからです。お口ケアは、全身的な健康状態の維持に欠かせないものと考えられます。

今回は統計データから日本の健康課題の現状を「見える化」し、また、誰にでも簡単に、即実践できる「予防医療=お口のケア」についてご紹介したいと思います。

平均寿命と健康寿命の違い

健康寿命とは、心身ともに自立し健康的に生活できる期間をいいます。

厚生労働省のデータが示すように平均寿命は伸び続けています。厚生労働省データでは、百寿者(100歳以上の方)は2022年9月で9万526人。今後も増加すると推計されています。

平均寿命と健康寿命の間には、男性で8.7歳、女性で12.1歳の「差」があることがわかります。また、女性は、男性よりもこの差が大きく、制限された日常生活を平均的には75歳頃から12年間であることが確認できます。

 

経済的な観点から確認してみると、

生活習慣病は国民医療費(一般診療医療費)の約3割死亡者数の約5割を占めています。要支援者及び要介護者となった主な原因は、脳血管疾患をはじめとする生活習慣病が3割を占めています。労働人口が減少するなか、医療費の負担額の増加は大きな社会課題となっています。

いかがですか?「見える化」すると、一気に自分ごと化されますね。

改めて、医療の目的について考える

本来医療は、私たちが健康に生きるためにあるものではないでしょうか。

医療施設は不調や異常を感じてから、治療や薬を処方してもらうために行くところだと多くの人が思い込んでいます。医療機関側も治療提供が中心です。保険で必要収益を確保するためか、一人あたりの診察時間が短く、根本原因や現状課題を見極めるための問診時間は十分とはいえません。病名を特定するための「検査」、対症療法的な治療が主な対応となっているように見えます。また、保険診療は適応範囲が限られるため、必要な治療がまかなえないこともあります。例えば歯科。使用可能な材質が決められていたり、レジン材は上下とも6番目の歯のみなど、使用可能部位の制限もあります。

どうすれば、健康寿命を延ばし、健康増進ができるの?

「予防医学」とは、病気を未然に防ぐだけではなく、病気の進みを遅らせること、再発を防止することとされています。健康寿命を延ばし、健康増進するには固定観念を振り払いアクションをすること、正しい情報にアクセスすること、この2点が重要な鍵です。

一次予防 健康増進・疾病予防・特殊予防 生活習慣・環境の改善、疾病の発症の予防
二次予防 早期発見・早期対処・適切な医療 発症した疾病や障害を検査などで早期に発見し、早期治療や指導などの対策重症化を予防
三時予防 リハビリテーション 治療の過程でリハビリテーション等による機能回復を図り社会復帰を支援再発の予防を行う

 

ストレス、便利すぎる生活環境、栄養過多など、さまざまな原因から身体は不調を引き起こします。まだ病気でなくても不調であれば、健康とはいえません。どんなに医療技術が向上して寿命が延びたとしても、健康に過ごせる期間が短ければ、困難が増えることになりかねません

口腔疾患と全身疾患との関連

口腔の疾患のうち、歯周病はさまざまな全身疾患と関連していることが報告されています。なかでも歯周病と糖尿病との関連はエビデンスが高いものとして知られています。

糖尿病は免疫機能の低下から感染しやすい状態となることで歯周病が悪化することから、歯周病は糖尿病の合併症としても認識されています。また、あまり知られていませんが、歯周病のある糖尿病患者に歯周治療を行うと、血糖コントロールの指標となるHbA1cに改善が見られる(「糖尿病診療ガイドライン2019」[2])ことから、歯周病と糖尿病には双方向的な関連があるともいわれています。糖尿病患者に対して歯周治療を行うことは、歯周病の改善だけではなく糖尿病のコントロールにも有効であると考えられます。

腸活より、ハミガキ? お口のケアで全身を健康に

特保商品やサプリメントなど「腸活」にまつわる商品が次々と発売されるなど、「腸活」が流行していますが、熱心に腸活をしても、お口から次々とばい菌が送り込まれたのでは、いたちごっこです。先の糖尿病以外にも、歯周病は、心疾患や慢性腎臓病、呼吸器疾患、骨粗鬆症、関節リウマチ、悪性新生物(がん)、早産・低体重児出産など、さまざまな全身疾患との関連が(まだエビデンスが十分ではないものもありますが)報告されています。お口のケアは、全身の健康維持にとって重要であるといえます。

近代的歯科医療へ、QOLへの道

ここで少し、歯科医療の歴史に移ります。1883年、虫歯や歯周病は、細菌が原因では?(化学細菌説 Miller)という研究結果が発表されます。1910年、虫歯や修復物の隙間が細菌の温床となり健康被害を引き起こすのでは?(中心感染説 William Hunter)という説が発表されると、以降20年以上、抜歯が大流行します。ここまでが「古典的歯科医療」とされます。しかし多くの歯を失うことで咀嚼機能や嚥下機能が低下し、食生活に支障をきたしたり、主体となる歯の治療のため健康な歯も削る、こんな歯科医療でよいのかという視点から米国のDR.L.D.Pankeyが予防医療を確立し、米国では1950年代から近代的歯科へと移行していきます。日本では北大の歯周病の権威、石川純先生が1958年に米国へ留学、この近代歯科医療を持ち帰りました。けれども日本ではいまだに、虫歯を削ったり、その穴を埋めるという修復や痛みの解放を目的とした「古典的歯科医療」が続けられています。修繕は、そのたびに歯はどんどん小さくなっていき、元の姿に戻ることはありません。世界の医療はまったく異なります。患者のQOLを上げ、人としての尊厳をも回復する、患者の人生の援助者でありつづける「近代的医療」へとシフトしています。

近代歯科医療と虫歯ができる仕組み

虫歯や歯槽膿漏は、歯垢=細菌と細菌がつくりだすプラークが酸を出して歯を溶かしたり、歯茎に炎症を起こすことで発症する病気です。つまり、この細菌の繁殖をコントロールすることが、細菌感染症(=虫歯・歯周病)の根本的治療となるわけです。近代歯科医療が始まった当時から米国では、初診患者には検査を行ったあと、すぐに修繕や修復にあたる治療には移らずハミガキ指導が行われています。細菌の繁殖をコントロールすることが細菌感染症の根本治療であることを患者も理解し、口腔環境をよくするために正しくハミガキができるように訓練からはじめるのです。プラークは繁殖に24時間かかるのでブラッシングの技術を身に着けて細菌をブラッシングできれいにすることができれば、一日わずか1回のハミガキで細菌の増殖を抑え、セルフケアすることができるようになります。

患者と医師のタッグで、セルフケアができる

日本では当時は抜歯が最良の治療とされていた時代です。お口のケア=ハミガキ指導が、治療の前に行われることは、患者にはなかなか理解されませんでした。日本は現代においても歯科のみならず、予防医療への意識が低いことが課題ですが、保険制度の影響もあり、いまだに根本治療に向き合わない修復、修繕中心となっており、依然として古典的な治療が多くの歯科医院で続けられています。自分の乳歯を冷凍保存しておき、将来必要となった時に移植できる技術は既にあるものの、虫歯や歯槽膿漏などで一度歯を失ってしまうと二度と取り戻すことができません。歯やかみ合わせの問題を抱えて食事がスムーズにできなくなると健康にも大きく影響します。

口腔ケアは、一生を左右する健康に最もつながっています。正しい知識と適切な医療従事者のサポートがあれば、誰でもすぐにスタートすることができ、また、プラークコントロール(=ハミガキ)は、さまざまな生活習慣病の予防効率の高い、取り組むべきケアです。

私は、幼いころより虫歯で苦労してきましたが、出産を機に予防医療に切り替えて20年、新たな虫歯はゼロ歴20年を更新中です。子どもはこの春、成人しましたが、虫歯ゼロを更新中です。しかも、ハミガキは1日に1回だけ、ラクラク生活です。いつから始めてもこのように効果があり、維持できます。

「近代歯科医療」はこのように患者と歯科医師の協力によって成立します。医師はさまざまな検査を通じて診療計画を立て、課題の元となった根本原因を患者にきちんと説明するところからスタートします。また患者にセルフケアの方法を指導し、定期チェックすることで年齢や生活にあったセルフケアを確立します。1年に4回~6回の定期健診と毎日のハミガキで、健康増進が可能になるのです。

ぜひ予防を提供している歯科医院で歯の健康診断からスタートし、健康増進につとめてください。

*日本でも 『GOOD SMILEシステム』 を導入している歯科医院では、DR.L.D.Pankeyの予防医療を提供しています。