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2015年の抱負はこれだ-”新年”を上手く活用したキャンペーン

あけましておめでとうございます。今年もアメリカから面白いビジネストレンド情報をお届けできるよう努めて参りますので、どうぞよろしくお願いいたします。

2015年も数週間経ちましたが、みなさんは元旦の計を立てましたでしょうか?

新年に「元旦の計」や「今年の抱負」を立てるのは日本人に限った話ではないようで、アメリカ人も「New Year’s Resolution」といって、同じように新年に抱負を掲げる。

ペンシルベニア州スクラントン大学(University of Scranton)が去年実施した調査によると、アメリカ人が打ち立てる「元旦の計」トップ5は以下の通り。

  • 1位:減量
  • 2位:身の回りの整理整頓
  • 3位:貯蓄
  • 4位:人生を謳歌する
  • 5位:健康の維持

で、そんな我々一般人が心に抱く計を「これぞ商機」とばかりに、各種ブランド、サービスが年末年始にかけてそれぞれの計に合致したキャンペーンを行う。たとえば、スポーツジムだと1月中は入会金無料となるキャンペーンを行ったり(1位:減量)、クローゼットの収納システムブランドが30%値引きを1月に行ったり(2位:身の回りの整理整頓)、ファイナンシャルアドバイザーが無料コンサルを実施したり(3位:貯蓄)、カリブ海ビーチリゾートホテルが常夏イメージのTVコマーシャルをガンガン流したり(4位:人生を謳歌する)、といった具合だ。

こんな風に営利企業があからさまなプロモーションをするのは見慣れたものなのだが、とある非営利団体の1月集中キャンペーンが今年からチラホラとアメリカでも見受けられるようになった。しかもこのキャンペーン、なんと元旦の計の1位・3位・5位をまとめて達成できるというツワモノなのだ。

そのキャンペーンは「Dry January」と言われるもので、訳するならば「シラフの1月」。忘年会、クリスマスなど何かと酒を飲む機会の多かった12月の直後である1月の31日間は断酒してみましょう、というキャンペーンだ。

Dry Januaryは、イギリスのAlcohol Concernというアルコール絡みの社会問題(アル中や飲酒運転など)解決に取り組んでいる非営利団体が2年前に始めたキャンペーン。

キャンペーン参加者は、31日間断酒を頑張るという自分の頑張りに賛同してくれる友人・同僚から寄付金を集め、それをAlcohol Concernまたは自分で指定した団体に寄付する……という仕組み。キャンペーンを通して、アルコール絡みの問題について周りの人と語ったり認識するきっかけを作ったり、または啓蒙活動の助けになる募金も集められれば……ということなのだろう。2014年1月はイギリスでは2万人近くがキャンペーンに参加したようで、どうやらその評判がアメリカにも広まってきたようだ。

しかもこの1ヶ月断酒、社会問題の認識向上や寄付金増加のみならず、キャンペーン参加者自身の健康に明らかによい結果をもたらすというデータも年明けに発表された。

雑誌New Scientistが行った実験によると、1ヶ月間酒断ちをした被験者の肝脂肪は平均15%減少、血糖値も平均16%減少したという。

実際、今年1月のDry January実行者のツイッターには、まだ1ヶ月経ってないのに体脂肪減少やら体重減少をすでに報告する人が結構いる。

 

こんなに減量もできるわ、肝脂肪など健康体を内側から向上できるわ、しかも酒を買わないので節約にもなるわで、本人にも社会認識向上にも良い結果をもたらすナンともすばらしいキャンペーンなようだ。

ただ、もしもこのキャンペーンを日本で実施するとしたら、「シラフの1月」というのは我々の文化背景からしてキビシイ月間かも。日本人は年明けの三が日を御節料理かたわら飲んで過ごすし、新年会もあるし、飲む機会が目白押しだ。おそらくやるなら「シラフの2月」のほうが、1月の新年会で疲れた肝臓を休ませ3月の送別会と4月の歓迎会・花見に備える、という、なんとも絶妙なタイミングかもしれない。

参考資料

ペンシルベニア州スクラントン大学の元旦の計調査

Alcohol Concern

Dry January

Dry Januaryのロゴ

雑誌New Scientistの実験の話のページ