雑談

野菜とスナック菓子

「お前は、イモでも食ってろ!」
つって罵倒する奴もいるが、

そういう意味では
僕は実際、田舎でイモを食っていた
生粋のイモ野郎である。

「この、田舎ものが!」
も同じで、

汲み取り便所を装備した家で、
井草薫るタタミの上で、大の字に寝ていた僕は、
生粋の田舎ものである。

なんで、そんなコトバは

「ええ」

と吸収してしまってお仕舞である。

家に帰ると、
食卓には、ジャガイモの蒸かしたものや、
とうもろこしや、枝豆や、トマトやキュウリや、そんなんが
山積みされていた。

そういった採れたての糖分で、少年の僕は満たされており、
スナック菓子の甘味をほぼ知らずに育った。

先週、銀座線で揺られていると、女子高生二人組が
こんな話を始めた。

「マジ、おなかすいた。なんかお菓子ある?」

「あるに決まってんじゃん、1日でも切らすと死ぬじゃん」

「そう、死ぬよね。365日お菓子食べてるよね」

「切らすと、止まるよね、うちら」

と。

近年の女子高生にとって、お菓子はライフラインになっているらしい。

じゃあ、その女子高生に

「イモでも食うかい?」

なんて言ったら、どうなんだろう。

「バカにするな!」

とでも言うのだろうか。

夏休み、僕は家族を連れて秋田へ帰省する。

そこで、子供たちは、スイカやトマトが畑で生えている。
ということを知り衝撃を受ける。

「野菜はスーパーで作ってると思った」

と。

そして、トマトやキュウリが、こんなにうまいんだと
知る。

鶏の目が、こんなに鋭いんだと
知る。

鯉は、ぬるぬるしているんだと
知る。

みんな命があるんだと
知る。

「お前は、イモでも食ってろ!」
つって罵倒する奴は、

イモの本当の味を知らない。

採れたてのイモの甘味を知らない。

ここまで言うと、スナック菓子を非難する展開かと
思われるかもしれませんが、

いやいや、スナック菓子はうまい。

しかも、いまどきのスナック菓子はアイデアにあふれている。

「フランスパン工房」

なんつって、めっさうまい。

結局、僕は、スナック菓子に都会幻想を抱いている。

だからと言って
採れたての野菜(田舎)が一番じゃないけ。
とは言わない。

採れたての野菜(田舎)もスナック菓子(都会)も
最高なんである。

ときに、田舎の牧歌的、田舎の採れたて感をアイデンティーティーにしている
はずの、わが故郷秋田の名物は、

「ババヘラアイス」

だったりする。

ババヘラアイスの色彩は
ピンクとイエローなんである。

そして、コーンはサックサクのスナック菓子感。

だけど、めっさ旨い。