雑談

一食2,000円でも食べたい! – お酒を飲まなくても良い食事処

昔、デザイナーの友人にこんなことを言われたことがありました。

「どうして日本の飲食店って夜の営業は必ずお酒を頼まなきゃいけないの? 俺は夜もデザインの仕事があるから、7時くらいに食事をする時ってお酒は飲みたくても飲めないんだよね。お酒頼まなくても良い飲食店って、ファミレスとか牛丼屋みたいなところだけじゃない。居酒屋で晩御飯のつもりで、お酒頼まないでウーロン茶頼んだらやっぱり歓迎されてない感じもするし、結局、コンビニとかデパ地下でお弁当を買っちゃうんだよね。
ちゃんとした料理を出してくれたら2000円以上払っても良いから、そういうお酒が飲めない人のための夜の飲食店って出来ないの?」

なるほどです。

ちなみに日本の夜の飲食店が「お酒中心」なのは、「お酒を飲んでいただいて客単価を上げたいから」なんです。

食事をする時には「飲み物」って必要です。

で、ミネラル・ウオーターやコーヒーやお茶やコーラやオレンジジュースだと、そんなに何杯も飲めないですよね。でも、お酒だと何杯も飲めるし、本来の「ご飯代」よりもよっぽどたくさん「お金」を使ってくれる人もいるんです。

さらに「お酒」ってただの「飲み物」ではなくて「嗜好品」としての面もあるので、例えば「ワイン愛好家」になってしまうと、「1本数万円」でも全然高いと思わずに支払うことも出来るという、飲食店側にとってみては、すごく魅力的な商品なんです。

そして東京の銀座や港区のような家賃が高い店舗は、最初から「お酒を頼んでもらう」というのを前提にして、お店の原価や売り上げの計算をしています。

「うちはワインを楽しんでいただくお店なので、お酒の飲めない方はちょっと・・」というお店たまにありますよね。

あれは実際、お店が常に満席でも、例えば半分くらいのお客さまが「お水」だったら、売り上げが成り立たなくて、家賃が払えなくて、閉店しなきゃいけないという設定のお店なんです。

というような話を、その時、友人のデザイナーに説明しました。

「そうなんだね」とは納得してくれたのですが、「でも、お酒飲まなくて良いお店あったら、通う人いっぱいいると思うんだけどなあ」と寂しそうに言われました。

8704654055 1ec9854994 o thPhoto by Elliott Brown

以前、ほんの短い期間だったのですが、bar bossaでランチ営業をしたことがありました。

その時、感じたのは「バーのどっぷりお酒じゃなくて、軽いお食事だけのお客さまって本当にたくさん存在したんだ」ってことです。

前から「バーに行く人種」っていうのはとても特殊で、全人口の数パーセントだろうなあ、というか、「一生バーなんかには行かない」って人の方がマジョリティなんだろうなあ、とは思ってたんです。

で、ランチをやってみて、「そうかあ。普通の人って、飲食店は普通にお腹がすいたから、美味しいものを良い雰囲気で食べたいだけなんだなあ」って実感しました。

さらに、そのランチでは「卵も乳製品も一切使わないビーガン料理」を出していたので、それ目当てで毎日のように来店されるお客さまもいました。

5506138769 280ee46c86 o thPhoto by nekotank

最近、本当に若い人がお酒を飲まなくなりましたよね。さらに、外国人のお客さまでも、宗教的にお酒を飲まない方やベジタリアンの方もすごくたくさんいらっしゃって、そこに「ニーズ」があって、「誰も手を出していないなあ」とはすごく気になっているんです。

そこで思いついたのが、こういう和食料理店です。

普通に白いご飯と、お味噌汁やお漬け物、お魚の焼いたのや揚げ物、煮物、和え物なんかがあって、それにすごく美味しい緑茶がついて、2000円というお店です。

お豆腐料理や野菜料理が中心の「ビーガン定食」もあります。もちろんお出汁は鰹節なんかは使わず、昆布や干し椎茸なんかで出しています。

お魚は干物とか、その季節だけのものとかがあって、和牛なんかを使った定食は3000円くらいします。

そして、ここがポイントなのですが、もうお酒は提供しません。

「ビールくらい置いておこうよ」とか「日本酒をちょっと」とか思うかもしれませんが、お酒を飲まない方って、静かに食事を楽しんでいるのに、横で飲んだくれているのを見るのって結構イヤな方、いらっしゃるんです。

昼の11時半から、夜の9時くらいまでの営業で、英語メニューなんかも用意して、一組のお客さまの滞在時間が1時間以内でと設定して、定食は2000円〜3000円とすれば、銀座や港区でも十分家賃は出せるような気がします。

スターバックスが「禁煙」で始めたとき、多くの喫茶店関係者が「コーヒー屋で禁煙ってありえないよね。絶対に上手く行かないよ」って陰で言ってたのですが、完全にそれを裏切って成功しましたよね。

それと同じで、「お酒なし」で、高級で英語対応、ベジタリアン対応もある食事を出すお店、確実にあたりそうな気がします。

うまくいけば、海外展開も出来そうな気がします。