雑談

テイスティングって何か知っていますか? – 現代人だからこそ身につけるべき礼儀作法が学べる本

ワインをボトルで注文していただいたとき、テイスティングをお客さまにお願いしますよね。

そんな時「これ、美味しくないって言ったらかえてくれるんですか?」と言われることがあります。

説明しますね。

テイスティングというのは「ワインが傷んでいるかどうか」をチェックしていただいています。

だから「自分が想像していたような味じゃない」という理由で交換することも出来ないですし、「若草のような香りが」とか表現する必要もありません。

一口飲んで、ワインが変な味がしなければ「大丈夫です」と答えるのが正解なんですね。

これ、本当に「何をいまさら」って思っている大人の方がほとんどだとは思います。

でも、最近の若い方は「レストランでのワインの頼み方」なんて記事を雑誌で読んでないんです。そういうのを読んだのは90年代に青春を過ごした世代までなんです。

そしてもちろん、大人が教える場所がなくなったから「知らない若い方」が続出しているんです。

また、「クレジットカードで支払いするとお店側は喜ぶ」と思っている方もいらっしゃいます。

あの、本当に「何をいまさら」なのですが、クレジットカードはお店が手数料を負担しているんですね。例えばバーだとクレジットカードの手数料が10%をこえることが普通です。

1万円の支払いをクレジットカードですると、お店はクレジットカード会社に1000円払って、来月の入金は9000円になるんです。

これ、もちろん「クレジットカード利用可能」ということで、お客さまの気持ちが緩んで「よりたくさん買い物をしてくれる」というメリットがあるので、「クレジットカードで支払わないで!」とは言いません。

でも、「あれれ、クレジットカードの方がお店が嬉しいってこの人思ってるんだ」という瞬間がごくたまにあるので、「え、最近の若い人って本当に世の中の仕組みをしらないんだ…」って思っちゃうんです。

あと、ある老舗の居酒屋では、帽子をかぶったまま店内に入ると「あの、お帽子を」と帽子をとるように注意されるそうです。

今の若い方なら「その帽子をかぶることで今日のコーディネイトが完成」って人が多そうなので、「室内に入ったら帽子はとるもの」という常識は知っておいた方が良いですよね。

最近、思うところあって、池波正太郎の「男の作法」と山口瞳の「礼儀作法入門」という本を読みました。

池波正太郎の「お醤油が入ったお皿にワサビを溶かし込んではいけない」とか「お蕎麦屋ではお茶ではなく蕎麦湯を飲むのが正しい」とか、山口瞳の「礼儀作法とは他人に迷惑をかけないこと」とか「見舞いにメロンを持っていってはいけない」とか、どちらも「なるほど」とか「知っておいて良かった」というものがたくさんあります。

でもやっぱり「男女のこと」とか「舶来もののこと」とか時代が古いと言いますか、現代人とは違う感覚のこともたくさん書いてあります。

それで思うのですが、いわゆる「決定版」で「現代版」の「礼儀作法本」があれば良いと思うのですが、どうでしょうか?

ベタですが、冠婚葬祭のこととか、外国でのチップや旅館での心付け、お店の予約や取り置きのこと、メールのことや外国人のパーティに誘われたらとか、ホテルのチェックイン、チェックアウトのこと。無料のオープニング・パーティに呼ばれたら、ちょっとお金を包むかお酒を渡す方がいいこと。あるいはイスラム教とかの宗教による習慣の違いのこと。そういう普通の情報も全部まとめて「現代の決定版」があると良い気がします。

もちろんネット上で検索すれば、「飲食店やホテルのキャンセルについて」とか「ワインのテイスティングはどうしてするの?」なんていう記述はたくさんあると思うのですが、それは検索しないと出てこない情報ですし、一般人が書いてある場合、ちょっと違うかなということもあります。

昔の人は雑誌の特集でなんとなく「HOW TOもの」を目にしていたのですが、今の若い人って雑誌を読まないのでそういう経験がないんですよね。

今のままでは上の世代が下の世代に伝えないまま、インターネットでも間違った情報のまま、世代が交代してしまいそうな気がしています。

決して「儲かる本」ではないと思うのですが、「可愛い見せ方」、「この人が言うんなら読もうかな」とかいろんなやり方あると思います。

タイトルを「成人したら読む礼儀作法本」とか帯に「高校を卒業するときに年長者がプレゼントすべき定番本」と書いて、本当に決定版として定着すれば、毎年何万部も売れると思うのですが、どうでしょうか。