雑談

電子タバコで禁煙は無理!かも・・?

電子タバコ。既に究極に懐かしい響きになっている気がしますが、たま〜に使っている方を見かけたりします。うちの親父がまさにその一人なんです。

親父はここまで何十年も喫煙してきて、既に天国へのパスポートを取得し(天国のはず)、後は旅行当日を待つだけ、という状況なんですが、それでも禁煙という目標に向かって電子タバコに希望を託しているわけです。誰がみても「それって意味あるの・・?」と聞きたくなる事間違い無し。

ところで、海の向こうのアメリカでは、依然として電子タバコを利用している人が結構いるみたいです。

参考記事:電子たばこに逆風―NY市議会が公共の場所での禁煙条例可決

条例が施行されるということは、それだけユーザーがいる、という事ですよね。

ちなみに、電子タバコは単に普通のタバコの代替品という事だけでなく、タバコとは別ものとしてそのフレーバーを楽しむ人も多い、という点はお伝えしておきます。

一方で、前述したうちの親父のように、禁煙を目的として利用する人も多いのは事実。はて、電子タバコは本当に禁煙に役立つのでしょうか?

JAMA Internal Medicine誌にこのほど掲載されたリサーチペーパーによると、電子タバコを利用しての禁煙は、あまり効果が無いということがわかったそうです。

カリフォルニア大学サンフランシスコ校の研究員らが、950人の喫煙者を調査し、喫煙習慣についてインタビューを実施しました。その結果、電子タバコを利用して禁煙しようとした人たちは、利用していない人と同様に、タバコをやめることができていなかった。

被験者に対し以下のような質問をし、1年後に全く同じ質問に答えてもらい、その経過を観察したそうです。
・参加者は過去30日以内に、電子タバコを使ったか。(たとえ1回でも)
・どのくらいの本数のタバコを1日に吸ったか。
・起床後1番初めのタバコを吸うまでの時間(30分以内か、その後か)
・そしてその後、6ヶ月以内に禁煙を試みたか。

※被験者のうち、電子タバコを使っていたのは88名だったそうです。

その結果、全体の13.5パーセントは禁煙に成功し、電子タバコを使用していた88名中9名だけが禁煙に成功していた。
サンフランシスコ校のグラナ研究員は、「電子タバコの使用の有無と、1年後に禁煙に成功しているかどうかは、何の関係もなかった。」と言う。
電子タバコ経験者は結果的に、調査された他の人に比べて、禁煙に対してのより強い意志をあまり示さなかったのだ。
更に、電子タバコによって、彼らが吸うタバコの本数が減ることはなかった。

発表された論文では、実験の参加人数は決して充分ではなく、研究にも限界がある事を認めています。その上で、研究者たちは電子タバコを利用した禁煙はあまり効果がないを結論づけています。少なくとも、科学的な根拠が示されるまで「禁煙に役立つ」と謳って電子タバコを宣伝するのは禁止されるべきだと。また、同じ研究者たちは、ティーンエイジャーにとって電子タバコが本物のタバコへの「入り口」となってしまう危険性にも警告を鳴らしています。

元記事でも言及されていますが、この研究では、なぜ・どのくらい電子タバコを使用したのかを被験者に聞いていないなど疑問の余地はあり、この研究だけで早まって結論を出さない方が無難かもしれません。

一方で、電子タバコが我々の健康へ与える影響に関して、不確実な要素が多々あるのも事実だそうです。電子タバコそのものは規制の対象ではないので、実際に消費者が何を体内に吸引しているのかかわからないとも言えるのです。特に、長期的にみて人体にどんな影響ががあるのかを示す研究は充分に行われていません。ロサンゼルス、シカゴ、ニューヨークといったような大都市で、屋外を含む公共スペースでの電子タバコの使用が禁止となった背景にはこのような事情もあります。

結局はタバコも同じですが、利用は自己責任、人には迷惑がかからないように利用したいものです。

そして、さすがにこのご時世ですから、三途の河の渡し船も「禁煙」だと思うので、うちの親父が旅立つまでは電子タバコ禁止条例の波があの世にまで押し寄せない事を祈るばかりです。

元記事はこちら