この記事では、2023.1.26のNature誌(Vol613)のChatGPTに関する記事”ChatGPT Listed As Author On Research Papers”を読み、興味を持ったコンテンツを紹介したものです。
ChatGPTについて簡単な紹介
最近話題のChatGPTとは、他にも汎用的な大規模言語モデル(LLM)GPTシリーズを生み出したOpenAIが開発したAIシステムです。ChatGPTは、テキスト生成、質疑応答、テキスト翻訳、テキスト要約などの言語タスクを得意とします。
チャットサービスとして使用された場合、人間が書き込んだ質問に対し、AIが適切だと判断した回答をわかりやすい文章で返します。回答の最後に、「この話題に興味を持っていますか」のような質問やアドバイスを出すことで、スムーズに対話を繰り広げます。第2次AIブームのエキスパートシステムをイメージさせるような仕様ですが、ChatGPTの場合はテーマの制限がなく、より人間らしく自然な回答を返します。
ChatGPTの学習に使われたデータが最新のものではない可能性もあるので、帰ってきた回答も最新の情報に合わないことがあります。また学習内容だけではなくウェブに検索も行っているようです。誤った情報でも、かなり自然な言葉で説得力のある口調で返すので、出力された内容の正しさを受け取る側がきちんと確認しなければいけません。
AIは出版物の著者になれるのか?
現在、出版物の執筆には、大規模言語モデルなどのAIツールが使われています。出版社、研究者、ジャーナルの編集者たちは、果たして、AIを論文や書籍の著者として掲載していいかどうかという難しい議論の最中にあります。2022年11月にOpenAIがChatGPTを無償トライアルとして公開して以来、この議論がさらにヒートアップされました。
Natureがインタービューを行った出版社(例:Natureの出版社Springer)の数々は、「ChatGPTは研究論文の著者の条件を満たさない」と合意しています。
その理由として、以下が主張されています。
- 人間と違って、AIはコンテンツの正しさや倫理・法務関連問題に対する責任を負えない
- 共著者はコンテンツに顕著な学問的貢献をしねければいけないが、AIツールは文章の生成のみ
- AIは自律的に、共著者になることに同意することができない
一方で、一部の出版社の意見によると、著者欄に載せられなくても、AIの論文への貢献は”Acknowledgement”として、クレジットを与えてもいいと思っているようです。論文執筆においてAI ツールを使用した場合、”Method”や”Acknowledgement”のセクションで、その旨を明記すべきとされています。
それでも、ChatGPTはいくつかの論文のpreprint版に、共著者として既に掲載されています。最終版が公開されるまでにこの可否が議論されると思われます。また、過去には同じOpenAIから公開されたGPT-3が論文に掲載されたことがあります。
最近、NatureやScienceなど様々な科学誌にChatGPTに関する話題が盛んになってきて、後続の記事でも面白い話題を紹介していきたいと思います。
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執筆者:ヤン ジャクリン (データ分析官・講師)