雑談

いまどき定額購入できる意外なモノ

 

食料品・日用品などの買い物は、日本の都市部で暮らしていると、仕事帰りに毎日駅前スーパーに立ち寄ってちょっとずつ買っていく、みたいなことができちゃうし、普通かもしれない。ところがアメリカで暮らしていると、なかなかそうはいかない。必要なものがなんでも揃っているスーパーのような店は、生活導線の都合のよい場所になかったり、距離が離れていたりするので、週末など時間のあるときにわざわざ出かけて1週間分、1か月分をまとめ買いする、というのが大半のアメリカ生活者の慣わしとなっている。

行くたびに大量に買い込むので、かさばるし重い。また買い漏れがないよう、必要なもののリストを作るなり記憶しとかなきゃいけない。それに週末ともなると同じような買出し客が同じような行動をするので、道は混んでいるしレジの行列も長い。まぁ、時間も労力もとられる煩雑な作業なわけだ。

 

アメリカでは、買い物も一苦労アメリカでは、買い物も一苦労 https://commons.wikimedia.org/wiki/File:Alnatura_Muesli_Kundin.jpgより引用

そんなところに目をつけたからか、アメリカではここ最近、日用品・消耗品の「サブスクリプション・サービス」、いわゆる定額制で定期購入するというサービスがアツい。

このようなサービスの火付け役となったと言われているのは、2011年に台頭したDollar Shave Club。毎月1ドルをクレジットカードから自動引き落としで払う設定にすると、カミソリの本体が無料でもらえて、その上替刃5個を毎月定期的に郵送してくれる。安さもさることながら、2012年3月に社長自ら出演した面白いユーチューブCMが受けて、一気に知名度と顧客数を高めた。

■Dollar Shave ClubのCM

男性向け消耗品のサブスクリプション・サービスとして他にも便利そうなのは、指定した枚数の下着・靴下を3ヶ月ごとに郵送してくれるManpacks。それから、毎月5ドルの自動引き落とし設定と引き換えにコンドーム6個を毎月郵送してくれるDollar Rubber Club。6個じゃ少ないという向きには、月額9ドルで毎月12個送ってくれる。

一方、女性向け消耗品では、Hello Floが生理用品を毎月送ってくれる。ナプキンかタンポンか、または量が多めか軽めかなども設定できて、月額20ドルで自分の必要な量だけを毎月郵送してくれる。

■Hello FloのCM

このサブスクリプション・サービス、わざわざ買いに行かなくても必要なときに必要な日用品が届くという消費者にとっての便宜はもちろんだけれど、売る側にとっても恐らくおいしいビジネスモデルなはずだ。まず、扱う商品がコンドームだの下着だの在庫点数が少量に絞られる上に大量仕入れできるので、原価が安くおさえられる。それに月額自動引き落としにすることで、同じユーザーからのリピート買いを確保でき、他の販路への顧客流出をある程度防ぐことができる。さらには月額制のおかげで、一定のキャッシュフローを常に確保できるのも有難いし、いつどれだけのユーザーが何をどれくらい買うかといった見通しもつきやすく、収益や在庫増減の見込みが立てやすい。

同じようなサブスクリプション・サービスに目をつけた、スマホのアプリケーションも出てきたようだ。Cupsというアプリは、月額45ドルでニューヨーク市内の独立系コーヒー屋(参加してる店のみ)で好きなだけコーヒーを飲めるというサービスを、今年4月から開始した。ちょっとしたコーヒー屋のコーヒー1杯なんて大体1杯3ドルくらいはするはずだから、もしも毎日1杯のコーヒーが必需品だという向きの人からすれば、簡単にモトが取れてしまうなんともすばらしいサービスだ。参加コーヒー屋の立場からしても、スターバックスなど大手チェーン店から、このようなアプリを通じて少しでも独立系の自店に客足が流れてくれれば有難いのかもしれない。