G検定

G検定に出る数理統計学+試験問題例

G検定に出る数理統計学

G検定の試験には毎回、基礎的な数学や統計学(数理統計学)の問題が数問出題されます。

G検定は直接的な数学の試験ではないのですが、AI・ディープラーニングを理解するためには「線形代数」「微分・積分」「統計学」に関する基礎的な理解が必要です。

G検定にとって数理統計は重要か?

数学はG検定試験全体に占めるウェートが高いとはいえない一方、確実に合格したい方は数理統計の分野を必ず大切にしてください。理由は次の通りです。
G検定に出題される数理統計の問題は(他の分野に比べて)範囲と形式が限定されています。そのため、傾向を把握し、丁寧に対策すれば点数を取りやすいはずです。ここで点数を落とすともったいないです!

また、試験のためだけではなく、数学・統計学はディープラーニングの技術の理解に重要です。G検定に合格しAIのジェネラリストになるためにも、本格的に数理統計学の学習を行ってください。

G検定の数理統計の問題は2種類

G検定の数理統計の問題は大きく分けて、「一般的な数学・統計学の問題」と「AI・機械学習に特化した問題」(G検定特有の数学)の2種類があるといえます。

一般的な数学問題は高校の数学の知識が必要です。「AI・機械学習に特化した問題」はさらG検定の技術分野の知識が必要となります。

「一般的な数学・統計学の問題」の主要な出題項目

  • 微分、偏微分
  • 確率、条件付き確率、ベイズの定理
  • 線形代数(ベクトル、行列の計算)
  • 期待値の計算
  • 確率分布
  • 基礎的な統計量(平均、中央値、標準偏差、相関係数など)

 

「AI・機械学習に特化した問題」の主要な出題項目

  • 活性化関数
  • ニューロンモデル
  • 畳み込み演算
  • 学習済みモデルの精度の計算(混同行列、適合率、再現率、F値など)
  • データ処理(正規化など)
  • 回帰方程式
  • データ点の間の距離
  • 相互情報量(2つの確率変数の相互依存性を示す指標)

 

以下、それぞれについて具体例を挙げます。

 

「AI・機械学習に特化した問題」の例

例1畳み込み演算

・フィルタ(カーネル)を用いて画像から特徴を抽出する演算
・入力画像の幅(高さ)から特徴マップの幅(高さ)を求める

【問題文の例】(選択肢は省略)

畳み込みニューラルネットワークの畳み込み層において、サイズ8×8の画像に対して幅1でパディングをし、サイズ2×2のフィルタを用いてストライド1で畳み込み演算を行った場合、この畳み込み層から出力される画像のサイズを求めよ。

 

例2 ニューロンモデル

【問題文の例】(選択肢は省略)

以下の図は、単純パーセプトロンの模式図である。wi (i=1,2,3,…N)は重み、xi  (i=1,2,3,…,N)は前の層からのニューロン(図の丸)への入力値である。

ここで、N=3、w1=0.2, w2 = 1, w3=0.5、x1 = 1, x2 = 0.1, x3 =0.01の時、ニューロン(図の丸)内の関数fに入力される値として、最も適切な選択肢を1つ選べ。

 

 

「一般的な数学・統計学の問題」の例

例1 線形代数

機械学習で扱われるデータは基本的に行列またはベクトルでできています。線形代数はディープラーニングの仕組みを知るうえで欠かせない分野です。
構造化データである場合、表データそのものは行列であり、そのうちの1列をベクトルとして取り出して操作を行うことがあります。非構造化データである画像は数多くのピクセルが並んでいる行列と見なすことができ、畳み込み演算はフィルターと画像の間の演算を行列同士の演算として捉えられます。G検定に出題されるような行列とベクトルの計算は計算ルールを覚えるのが一番得策です。

例2  微分・偏微分

G検定では高校レベルの1変数の微分と、多変数の関数に対しての偏微分の問題が出題されます。これは、ニューラルネットワークの学習において極めて重要な「誤差逆伝播法」や「勾配降下法」に使われます。後者では、数多くあるパラメータのうちの1つについて損失関数を偏微分することで、パラメータの値を大きくすべきか小さくすべきかと、最適化の方向性を定めます。

微分を聞くと難しそうに感じられるが、G検定に出る微分については、たっぷり演習を行うことで微分の基礎を身につけ、パターンを掴めば本番は実は他の分野より点がとりやすいと感じております。

 

G検定の数理統計の対策

G検定の対策を1、2ヶ月でしようとする際に、高校数学の教科書1冊を端から端まで基礎から順に勉強することは、とても現実的とはいいがたいです。

数学の理論を根本から理解しようとしなくても大丈夫です。G検定の合格が第一目標であれば、まずは書籍や講座などを使って演習を徹底的に行えば、G検定に出る数学・統計学の傾向をつかむことができ、十分な試験対策になります。

勉強していく中で特定の分野の数学の理解が足りていないと思った時には、その都度確認すればよいのです。

以下の教材は、AI・データサイエンスの理解に必要な数学を学習する上でおすすめのものです。学習の際にはぜひご活用ください。

 

執筆担当:ヤン ジャクリン  (データ分析官・講師)

 

yan
データ分析官・データサイエンス講座の講師