雑談

全ての飲食店が簡単に見つかる時代はツマラナイ! – ネットには載らない「会員制バー」が今面白い!

小さい会社を経営していたり、フリーでWEBや書籍の編集、あるいはイベントやプロデュースの仕事をしていたりする人たちに「小さいお店をやってみたいんですけど。お金ってどのくらいかかるんですか?」という質問をたまにされます。

よくよくお話を聞くと、「飲食店をやってみたいんだけど、有名なシェフが必要なお食事中心のレストランではなく、カフェとかバーとかでいい。そして、そこはたまにアーティストの展示も出来るし、面白いミュージシャンのライブやパフォーマンスも出来て、仕事や趣味で繋がっている人たちがいつでも集まっているような、そんな場所がほしい」とのことです。

わかります。ちょっとしたパーティをどこかのお店で貸しきりでやったりすると平気で10万円20万円といった結構なお金が必要ですよね。騒ぎすぎてそのお店に迷惑をかけるなんてことも怖いけど、でも、それが自分のお店ならいつでも安くやれるし、DJも入れたり出来るし、逆に儲かることもあったりします。

ちなみにそういうお店を考える人って必ず青山や代々木上原とかのちょっとした一軒家的なカフェを想像しているみたいなのですが、あのですね、そういうカフェってあんまり儲からないし経営を続けていくのって結構難しいですよ。

例えばメニューですが、シェフが必要ないカフェ・メニューですと、例えば僕がお店を始めた頃は「ベーグル」が流行りました。その後はロコモコ丼が流行りました。今はパンケーキが流行っていますが、これも来年流行っているかと言われると、「うーん、どうだろう?」って疑問ですよね。

はい。シェフがいるカフェでしたら、その彼に任せて「パリにあるようなビストロ料理もちゃんと出すカフェ」とか「どこにも負けない本格的なハンバーガーを出すカフェ」といった風に何年でもやっていけるメニュー構成を考えられますが、バイトで回せるようなカフェ・メニューって本当に難しいんです。だいたい、どこにでもあるような「パスタメニュー」に落ち着いて、「古い」って感じがして、飽きられます。

でしたら、それでそういう人にオススメしたいのはマンションの一室とかにある会員制バーの経営です。

内装も「いわゆる食べログにも登録される種類のお店」じゃないので、自分が好きな家具を置いてしまえば良いですし、100万円以上もする本格的な厨房施設も必要ではありません。

開店に必要なお金も、500万円もあれば可能だと思います。

感じの良い若いバーテンダーを年収500万円くらいで雇って、お酒の管理やちょっとした食事は彼に全部任せます。

そのかわり、「会員制」というのを徹底させた方が良いと思います。必ず誰か会員の紹介でなくては入店出来ないとして、さらに会員3人以上の「許可」がないと「会員」にはなれないといった、「特別感」が必要です。

10人くらいの有志が50万円づつ持ちあってお店を始めて、その株を新しい会員は「買える」というのも良いかも知れないです。

もちろん全員から「年会費」はいただきましょう。その年会費で毎月の家賃やバーテンダーの給料はまかなえます。で、会費を頂いている分、逆にメニューは街のバーよりも安く抑えられます。

平日のヒマそうな日は若くて面白い音楽家の演奏や、映像作家の作品紹介、絵画の展示や詩の朗読、料理研究家の紹介とかそういう文化的な情報を発信できる場所にしましょう。

若くて面白い人たちは「必ずそこで発表する」という登竜門的な雰囲気の場所になると注目度も増すかもしれません。

ちょっとしたことが始まりそうです。

そして、それが誰でも入ってこれる一階のカフェやインターネットのWEBサイトじゃなくて、マンションの1室の会員制バーだというのが特別感があって良いと思います。

5839279600_5002e1d7d6_o_th.jpg
Photo by mu523

食べログにも出てなくて、SNSのアカウントやHPも何もない特別な秘密のバー。でもそのバーから色んな文化が生まれるんです。

たぶんこういう発想って、すごく閉じてて、選民意識が強くて、「イヤ〜な感じ」がするというのはわかっています。

でもですね。今ってホント誰でもアクセスできるから状況がつまんなくなってきてるとも思うんです。選ばれた人たちだけが集まって何かを作るっていう実験、今の東京ですごく面白い試みだと思います。

東京の夜の世界には、そういうちょっと怪しくて何かが出てきそうな魔法がかかった空気感ってまだまだあると思うんですよね。いちバーテンダーとして思います。

「インターネット上に開かれていない会員制バー」今こそ面白いと思うのですが、いかがでしょうか。