ビジネス

ふわっと理解しているビジネス単語を整理してみた

突然ですが、「販売仲介業者を意味する単語は何?」と聞かれたら、皆さんは何を思い浮かべますか。

おそらく「代理店」「問屋」「卸売」「商社」、人によっては「ディストリビューター」や「エージェント」といった単語を思い浮かべると思います。

お気づきかと思いますが、販売仲介業者を意味する単語はいくつも存在しています。では、それぞれの単語にどのような違いがあるのかご存じでしょうか。

結論から申しますと、日本語の「代理店」「卸売」「商社」「問屋」などには明確な違いがありません。なぜならそれぞれの言葉に明確な違いが定義されておらず、言葉を使う人や場面によって意味合いが異なってくるからです。

一方、英語では販売仲介業者を意味する言葉として、「セールスレップ」と「ディストリビューター」の2つがあります。そしてこの両者には明確な違いがあります。

「セールスレップ」と「ディストリビューター」の違い

「ディストリビューター」と「セールスレップ」の違い、それは売る製品の「所有権をもつ」か「所有権をもたない」かという点のみになります。

実は先ほど挙げた、日本語の「代理店」「問屋」「商社」や、世の中にある「○○マーケティング」「××販売」……などは、どんな名前がついていてもどちらかに分類されます。

自社で購入し所有した状態から再販するのが、「ディストリビューター」。自社では製品を購入せず、販売の代行だけして成功報酬の手数料をもらうのが「セールスレップ」になります。

ディストリビューター

ディストリビューターはメーカーから製品を買い、一度自分のモノとした後にそれをエンドユーザーである顧客に再販します。その再販した時の販売価格と、メーカーからの購入額の差額がディストリビューターの利益となります。(※実際にはメーカーからの購入額以外にもコストはかかりますが、ここでは割愛)

メーカーの立場からみると、ディストリビューターに製品を売って代金を回収した時点で取引は終了します。ディストリビューターが、最終的に誰にいくらで売ったのかという情報はメーカーには入ってきません。
仮にメーカーからディストリビューターに売った価格の何倍もの価格で、エンドユーザーに販売していることが分かったとしても、それに対してメーカーは、ディストリビューターに何か言える権利はありません。その一方でメーカーにとっては、早期に確実な売上がたつことがメリットになります。

セールスレップ

それに対してセールスレップはメーカーから製品を買うわけではありません。その代わりに成果報酬の約束をメーカーと交わします。よくある成果報酬は、売上や販売価格に対して%を設定するやり方です。

セールスレップは製品を自社のモノとせず、販売活動を”代理”として行います。そうして商談がまとまった後、代金はエンドユーザーからセールスレップを経由せずに、メーカーに直接に送られます。その後メーカーは代金受け取り後に「セールスレップに約束通りの成功報酬を振り込むのです。

ポイントとしては、一連の取引の中でセールスレップはメーカーの商品を自分では一度も所有していないということです。彼らは販売の代行だけをして、その成功報酬をメーカーから受け取ります。ディストリビューターのように自分が買って誰かに売り、その差額で儲けるわけではありません。

終わり

このように「売る製品の所有権をもつか、持たないか」がディストリビューターとセールスレップとの違いになります。

今後は、クライアント先の担当者が「代理店」「卸売」「問屋」「商社」などの単語を使っているときに、その単語をディストリビューターを意味して使っているのか、あるいはセールスレップを意味して使っているのか、考えながら話を聞いてみるとよりビジネスの理解が深まると思います。

上野