雑談

春に需要が高くなる!? -アメリカでバカ売れする意外なモノ

春になると売れるもの。ランドセル。新学期用の新しいノートや文房具。花粉症などアレルギーの薬。苗、種、土肥などガーデニング関連のもの。日本の春に需要が高まるモノといったら、こんな感じで、「新学年・新学期」関連モノと季節モノといったところだろうか。

一方、アメリカでは、日本人の感覚からするとちょっと意外なものが3-4月に急激に売れる。今日はそんなアメリカの意外な春需要3つをご紹介しよう。

その1:家

米国不動産協会のデータをもとにしたこのグラフにあるように、3月4月になると急激に中古住宅販売が伸びるのが見てとれるだろう。その大きな理由は2つある。

1つは、季節的な理由。冬のあいだ積もりに積もった雪も3月ともなれば暖かくなって溶けてなくなるし、裏庭の草木も芽吹き、玄関先にはチューリップなど花も咲き始める。要するに、暖かくなってきて、家の見栄えが良くなるので、見栄えのいい時期に写真入りパンフレットを作ったりオープンハウスを行って見込み客を招き入れその気にさせようというのがある。それに、暖かくなってくることで、見込み客のほうも心理的に少し浮かれた気分になってるだろうから、そんな春うららで気分が踊ってるうちに買う気にさせてしまおうというのもあるだろう。

もう1つは、アメリカの多くの学校の新学期・新年度が9月に始まる、というのに関連している。9月学校スタート前に、子供の転校手続きを済ませなきゃならないし、現在の持ち家も売りさばかなくてはならない。そういった後続の諸手続きを完了させる時間も鑑みると、次に移り住む家を春当たりに購入するのは至極無難なタイミングというわけだ。

その2:水着

3月になると、洋服屋などの店頭に水着がズラっと並び始める。日本人の感覚からすると、早過ぎる気もするだろう。ところがアメリカでは3-4月のスプリング・ブレイク(Spring Break:春休みのこと)に常夏ビーチへ出かけるとい慣習が根付いているため、3月になると水着が登場するのだ。

アメリカの学校の大半は、新学期(秋学期)が9月-12月、そして冬学期が1月ー5月という風にカリキュラムが組まれている。で、イースター(Easter:復活祭)というイエス・キリストの復活を祝う休日の前後に、大概どこの学校も約1週間のスプリング・ブレイクを設けている。

イースターは「春分の日の後の最初の満月の次の日曜日」という稼動休日なので、ときには3月下旬の日曜日だったり、時には4月中旬の日曜日だったりする。

なので、休みのタイミングは、学校によっても違うし、年によってイースターの日がズレることでも違ってくるけど、大体3月から4月のあいだに学校が1週間お休みとなるわけだ。

で、小さい子供のいるアメリカ人家庭なんかだと、この1週間のあいだに家族水入らずで春休み旅行を決行する。一方、大学生達は、4月後半の期末試験の詰め込み勉強が始まる前に、ガッツリ息抜きすべく学生同士でフロリダやメキシコの常夏ビーチへ出かける。ここで朝から晩までビーチで飲んだくれドンチャン騒ぎをし、リフレッシュして学校に戻って勉強に励む……という仕組みだ。

従って、3-4月になると水着の需要が突然高まる。

その3:チョコレート菓子

これはイースターのおかげ。アメリカでチョコレート菓子が売れる日ナンバー1はハロウィーン。そしてナンバー2が、なんとイースターなのだ。

ハロウィーン、イースター、共に共通してるのは、メインの対象客が子供であること。ハロウィーンは子供達が人の家に御菓子をねだりに練り歩く日だし、イースターは御菓子のつまった模型の卵を子供達が転がしたり探したりする日。なのでイースター前の3-4月になると、子供受けしそうな色鮮やかな季節限定チョコやら、ウサギや卵やヒヨコの形をした可愛い御菓子が出回り始める。

季節行事にかこつけて、少なくとも年に2回もチビッコ達を砂糖漬けにするわけだから、そりゃ肥満大国にもなるよな……。

ふと、イースターなどというキリスト教絡みの日が日本でどれくらい知られてるいるのかな?と思って検索してみたら、何てことでしょう!「流行って」おられる様子?!やれ東京ディズニーランドではイースター特別イベントを開催予定だの、やれ各種高級ホテルや菓子メーカーがイースター限定スイーツを販売だの……。なんか、『クリスマス』を『イースター』に置き換えただけのようなテンプレートっぷりが圧巻。この勢いならば、「キリスト教絡みのイベントを独自の解釈で商業化」という流れ、日本ではさらなる横展開が可能か?!