11月の第4木曜日、今年の11月27日は、アメリカではサンクスギビング(感謝祭)と呼ばれる祝日だ。この日は家族、親戚、近しい友人がほうぼうから訪れてきて一緒に食事をするという、アメリカではクリスマスに匹敵するくらい大事な家族行事の祝日となっている。日本でいうならば、お正月に親戚一同が会して御節料理を食べるのと似ているかもしれない。
おせち料理が地域や家庭によってちょっとした違いがあるように、サンクスギビングで供される食事も家庭により様々な差異はあるだろうが、大まかには以下のウィキペディアの記述が食事の内容をうまく捉えている。
ウィキペディア『感謝祭』のページより
伝統的な正餐のメインディッシュとなるのは、角切りにしたパンを用いた詰め物(「スタッフィング(stuffing)」または「ドレッシング(dressing)」と呼ばれる)をした大きな七面鳥の丸焼きである。そのため、感謝祭の日は「七面鳥の日」(Turkey Day)と口語的に呼ばれることもある。切り分けた七面鳥にグレービーソースとクランベリーソースを添えて供する。
副菜には、マッシュポテトとグレービーソース、オレンジ色のサツマイモの料理、さやいんげんのキャセロールなどが一般的である。デザートには、アップルパイやパンプキンパイが供されることが多い。
そんなアメリカ人なら誰もが持っている感謝祭料理へのセンチメントをまさに捉えたとある御菓子がサンクスギビング2週間前である今週、全国のターゲットという大型小売店のみで限定販売となり、軽く話題を呼んでいる。それはナニかというと、これだ。
季節限定ポテトチップス!感謝祭ご馳走4つの味ミックスパック
- 七面鳥のグレービーソース和えの味
- スタッフィングの味
- クランベリーソースの味
- パンプキンパイの味
しかもミックスパックのパッケージは、七面鳥まるごと1羽を売るときのパッケージを模倣して作ったらしい。1つの味当たり70グラムX4つの味合計約280グラムが4.99ドルで販売中。
これを作ったのは、Boulder Canyon Foodsと呼ばれる、コロラド州を拠点とするポテトチップス製造会社だ。
良い原料を元に良い商品を製造し、コロラド州近辺と西海岸当たりを中心とした市場にのみ出荷するという、地域密着型ポテトチップスメーカーであるようだ。既存商品をみると、「塩こしょう味」「チェダーチーズ味」など王道定番な味が多く、別に奇をてらった味で勝負してるというビジネスモデルなわけでもなさそうだ。
だが今回の『感謝祭ご馳走4つの味ミックスパック』発売で、考え得る限り3つくらいポイントを高めてるあたりがスゴイ。
1.バンドリングで価値とインパクトの向上
まず始めに、4つの味をそれぞれバラバラの変わり種の味として出す代わりに、バンドリングして感謝祭というアメリカ人の誰しもが何らかの思い入れ・思い出のあるイベントにテーマを絡めたあたりがスゴイ。それぞれの味4つをバラ売りしても、なんか奇をてらった味が4つあるな、程度で留まりそうなところが、エグイ味が4つ束ねられた上に風物詩に絡められたりすると、インパクトがグッと高まる。
2.ローカルからアメリカ全土に市場と知名度の拡大
で、そんなインパクトの高さのおかげかどうか、いつもならコロラド州と一部西海岸あたりにしか出荷してなかったのに、ターゲットという大型小売店チェーンと独占販売契約をものにして、全国規模でこの『感謝祭ミックスパック』を売ることにこぎつけたのもスゴい。4つの味バラバラだったらば、全国規模の知名度と市場への足がかりを取り付けることもなかったかもしれない。
3.新たなシーズナリティと需要の創出
さらに、感謝祭の時期に売れる食品といえば、七面鳥とそのソースの材料、副菜の材料、パイの材料とかその辺がメインで、ポテトチップスなどは感謝祭というシーズナリティとは関わりのない商品だったのに、突然関連性・親和性を出せたのもスゴイ。今回の『感謝祭ミックスパック』は、面白そうだと思って購入する人もさることながら、金銭面や家庭の事情で1人でサンクスギビングを過ごさなくてはならない学生や独り者の人にも需要があるかもしれない。
これなら日本でも応用可能だろう。たとえば、おせち料理にからめた味のお菓子を数種類まとめて、小さい重箱に似たパッケージに入れて売るとか。『季節限定チョコレート!おせちの味ミックスパック~栗きんとんの味、黒豆の味、伊達巻の味、ちょろぎ味』とか、意外と食べやすそう。あとは、『季節限定おせんべい!おせちの味ミックスパック~ごまめ味、昆布巻き味、お煮しめの味、タイの御頭味』とか、全然イケそうだ。
BoulderThanksgiving Feast味見レビューのビデオ
Boulder Canyon FoodsのHP
ニュースリリース