統計学

アメリカ社会だけではない?! – 日本における肥満と所得の関係を統計から読み取る

実は私、2年で7キロも体重が落ちました。最初は特に痩せるつもりはなかったのですが、環境の変化か何かが原因で痩せ始め、どんどん面白くなってしまい減量を続けました。やっぱり、女性は日々”痩せたい”、”太りたくない”と感じてしまいますよね。
ところで、社会問題としての”肥満”が貧困問題と関係しているという事が指摘されているのをご存じでしょうか。アメリカなどでは広く認知されている考え方で、高カロリーで安価なジャンクフード中心の食生活が肥満を引き起こし、ライフスタイルにも大きく影響するという事です。

これは日本社会にも当てはまることなのでしょうか。それを知るために、厚生労働省のある統計を紹介したいと思います。

社会実情データ社会実情データより

上記のデータは 1.「所得水準による肥満度のちがい」、2.「所得水準による生活習慣のちがい」と3.「運動と睡眠」4.「たばこと飲酒」を所得で分析した結果です。1から順番に見ていきましょう。

1.「所得水準による肥満度のちがい」に関しては、特に女性に関しては所得が高ければ肥満者の割合が低くなっています。確かに表参道や青山といった高所得者が住んでいる場所には、なんだか細いマダムの皆様が歩いているイメージですね。
2. 「所得水準による生活習慣のちがい」では、興味深い傾向がわかります。男女共に低所得者は高所得者に比べて、朝食を欠食しており、また野菜の摂取量も低いということです。お腹一杯になるためには、野菜はともて高くつきますよね。1本90円のきゅうりより、1個90円のカップラーメンを選らぶことになんら違和感を覚えません。
3. 「運動と睡眠」では、。肥満者がより多い低所得者は高所得者に比べて運動をしている率が低いです。
4. 最後の「たばこと飲酒」ですが、低所得者グループの方がなんと喫煙率が高いことがデータからわかります。たばこの値段はだいぶ上がってきましたが、高所得がより多くのたばこを購入するというわけではなさそうです。

まとめますと、低所得者ほど以下と非常に強い関係があることになります。

  • たばこをより多く吸う
  • 朝食を抜く
  • 野菜不足
  • 肥満度が高い

 

そこで、もう一つ所得の低さと肥満率を表しているデータをご紹介します。下記のデータは失業率と肥満率の関係を示しているグラフです。

竹内瑞希(2012), 貧困と肥満の関係竹内瑞希(2012), 貧困と肥満の関係

竹内氏によると、このときの相関係数は0.64だったと述べています。相関係数とは要素同士が、どのくらい強く関係性があるのかを示すもので、±0.7~±1強い相関があると言われています。今回の0.64は中程度の相関があるといえるでしょう。

私の実体験からも所得の低さ(失業率など)と肥満は、確かに関係があるように思います。
私の学生時代を思い出すといくつも思い当たる点があります。勉強時間を確保するために、アルバイトもせずお金も全然ありませんでした。今よりもずっと太っていて、食事は安い100円の菓子パン、それでも足りないからお菓子もプラス。「そりゃ太るのも自分のせいでしょ」、と突っ込まれたら何も言えません。が、少ない予算で、少しでもお腹を一杯にさせる事ばかり考えていました。高くてお腹が一杯にならないサラダなんて、目にも止まらなかったです。

今回のコラムでは、日本の低所得と肥満の関係を見てみました。アメリカで問題になっている貧困と肥満率が、日本でもある程度相関しているということが言えます。いつから、低所得者の肥満率が、高所得者に比べて高くなったのかを示す、時間的データを入手することができると、更に興味深くなるでしょう。

■参考文献

社会実情データ

竹内瑞希(2012),「貧困と肥満の関係」