「成長の限界」という本をご存知でしょうか?
ダイヤモンド社
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1972年に出版されたこの本には、このまま人類が資源を消費し成長し続けると、2030年までに”成長の限界”に到達し、人類の衰退が始まるというショッキングな予測が書かれています。
そして、この「成長の限界」を真っ先に思い出させる興味深い研究が、アメリカで発表されました。
NASAが一部資金を提供して行われたこの研究は、天然資源への過度な需要や極端な経済の不均衡が、現代文明の早過ぎる終焉に繋がると警告しています。
メリーランド大学(UMD)の数学者であるサファ・モテシャレイ教授などが携わった論文「Human and nature dynamics (HANDY)」の著者たちは、富・経済格差・天然資源の使用といった人類的な要素を、動物の個体数の相互作用を見る際に使用されている科学的なモデルに応用した。このモデルにより、研究者たちは人間社会全体の”キャパシティ”を計算することができ、それが人間社会の崩壊がどのように訪れるかを見極めるものでもあるという。
この研究に携わった研究者たちは、例えば天然資源の一様な搾取や、世界の富裕層(この場合日本人は全員富裕層に当てはまりますね)が貧困層の何倍も消費すると言った不平等がこのまま続くと、社会システムの崩壊につながることをこのモデルで示しています。
論文の中でも言及されていますが、このモデルは思考実験の枠組みを提供するものであり、特定の社会が崩壊に向かっていると断定するものではありません。モテシャレイ教授は、「このようなモデルはどんな社会の未来も正確に予測することが出来ないが、社会の進化と衰退のメカニズムを理解するのに役に立つ」と述べています。
天然資源や温暖化など、地球規模の環境問題が広く知られるようになってから既に半世紀以上が経過していると思います。「歴史的な文明の衰退は100年以上かかって起こる」というこの論文の記述が印象的でした。
私たち人類は既に衰退の中にいるのかもしれません。個人が出来る事は限られますが、やはり我々一人ひとりが意識すべき問題なのではないでしょうか。
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