雑談

アメリカで売れてる健康志向スナック菓子の3つの共通点

仕事中に口寂しくなったり小腹が減ったときにサクッと何かつまめるよう、会社の机の引き出しのひとつをスナック貯蔵庫としている。

といっても1日中座り仕事をしてる身なので、なるべく油ギトギトのポテトチップスやらクッキーではなく、身体に優しそうな感じのするお菓子を補充するようにしている。
 
俗に言う、健康志向スナック的なものだ。もちろん、気休めでしかないことは分かってる・・・つもりだ。
 
先日、貯蔵庫が底をついてきたので、ホールフーズというスーパーに補充にでかけた。
 
ホールフーズは、オーガニック、自然食品の代名詞のようなチェーン店で、品揃えは聞いたこともないような会社が作る健康志向品ばかりに偏っている。

holefoods
よって、私のような気休め追求ご都合主義派な人間やら、真剣により良い食生活を送ろうとしている人たちの間で大人気のスーパーだ。
 
たとえば、スナック菓子コーナー。
 
普通のスーパーだと、Lay’sだとかFritosだとか誰もが聞いたことのあるような、大手企業が低コスト大量生産で作ったポテトチップス、コーンチップス、ポップコーン、クラッカーあたりしか見つからないのが常だ。
 
一方ホールフーズだと、ライスチップス、ケールチップス(ケールという緑野菜をカラッとさせてチップ状にしたもの)、ベイクドチップス(ギトギト油で揚げる代わりに焼いて製造)など、一見変わったものがズラリと並んでおり、大量生産ブランドは一切見当たらない。
 
さて、どれを買おうか色々手に取って、パッケージの表や裏をタメツスガメツ見てみると、面白いことに気づいた。
 
ほとんどの商品が売り文句として謳ってる共通点が、「XXXが入っていない」ことなのだ。
 
たとえば日本のこの手の商品を観察してみると、やれ7つのビタミン配合だの、やれナンチャラ配合だの、何か良いモノが「入っている」ことが強調されているのが多数のはず。
 
ところが、こちらでは、何か悪いとされてるモノが「入ってない」ことが売りのようなのだ。
なかでも、あたかも三種の神器であるかのごとく、以下の3つがないことを記述してるスナックが幾多もあるのが興味深い。
 
 
三種の神器
 

1:”No Trans Fat”「トランス脂肪酸 未使用」
 
トランス脂肪酸というのは人工的に作られる脂肪の一種で、安いうえに食品の日持ちを長くしたり食感を良くしたりという、製造者にはうれしい脂肪だ。
 
だが消費者からしてみれば、動脈硬化の原因だと敵視されている脂肪である。
 
よって米国FDA(食品医薬品局)もなんらかの対策をとるべく、10年前にはアメリカの食品製造業者に対して、トランス脂肪酸の含有量表示を2006年までに行うよう義務付けたという過去がある。
そのう今年11月には、トランス脂肪酸の使用そのものを禁止する方向性を示した。
 
なので今のところは”No Trans Fat”という表示は差別化の一環になっているのだろうが、数年後にはそれが当たり前になる日がくるのかもしれない。
 
 
2:”Non-GMO”「遺伝子組み換え作物(Genetically Modified Organism)未使用」
 
遺伝子組み換え、だなんて、字面を見るだけでも明らかに不自然で身体によくなさそうな感じがする。
 
米国農務省の統計によると、アメリカで栽培されるトウモロコシ、大豆、キャノーラの約90%が遺伝子組み換えということらしく、したがって店頭に並ぶ飲食品の80%近くがGMO使用商品となるらしい。
 
逆にいえば約20%、アメリカ市場の2013年予測換算だと1780億ドル近くが”Non-GMO”商品と推測されるわけだが、市場調査会社Packaged Factsの発表によると、4年後の2017年には、これが約2640億ドル、市場規模の約30%にまで拡大するとされている。
 
しかも今年ホールフーズは、2018年までには陳列商品のすべてにGMO使用可否の表示を義務付けると発表したため、ホールフーズに納めたい食品業者はますます”Non-GMO”の流れに乗ってくことが予想される。
 
 
3:”Gluten Free”「グルテンフリー」
 
グルテンは、小麦やライ麦など一部の穀物に含まれるタンパク質の一種。
 
パンのモチモチした食感や麺類のコシなどは、このグルテンの働きに由来している。
 
ただアメリカ人の約3%は、セリアック病といって、グルテン含有食品を食べないことが唯一の治療法とされる自己免疫疾患を持ってるとされている。
 
そのため、そもそも「グルテンフリー」なる食品は、ごく少数の疾患者向けのニッチ市場だった。
 
ところが最近になり、一部有名人などがセリアック病患者でもないのに突然グルテンフリーな食事を始めて「ダイエットに成功」だの「なんか健康になった気がする」だの、なぜかグルテンフリーをライフスタイルとして提唱したため、煽りを受けてブームとなっているのだ。
 
これにより、これまでであればセリアック病を患ってる人たちは、遠くの専門店までわざわざ食品を買いに行ったりと煩雑なことも多かったのが、今は近所のホールフーズでも入手できるくらいグルテンフリー商品が巷に台頭し始めた。
 
本当の患者の立場からすればヘンな流行のおかげで恩恵にあずかれるのは何とも素晴らしい。
 
ただ、非疾患者がグルテンフリーな食生活でより健康になるかどうかなどの医学的根拠は特にないし、そもそもグルテンフリー食品は一般食品よりも値段が高め(ホットケーキミックスだと通常商品なら3ドル、グルテンフリーのものだと6ドルというように、グルテンフリーということでプレミアム価格になる)なので、この流行が一過性で消えてくか、継続するかは、もう少し様子をみてみないと分からなそうだ。