雑談

職場と花束と男と女

類は友を呼ぶ、というのは国境を越えても然りなようで、アメリカに来ても私のような斜に構えた人間が仲良くなる相手は、やっぱり世の中を斜めに見てるアメリカ人だったりする。

7年近く仲良くしてるヴィックもそんな斜め派のひとりで、お互い職場のミーティングで出てきたピントのズレた発言だとか、レストランの隣の席から盛れ聞こえるヘンな会話などを、チャットなどで実況中継してほくそ笑む、というようなことができる気が置けない友達だ。

さて昨日、「これはヴィックの意見を聞かなきゃ!」と思うような発見をした。

前々から薄々気づいていたのだが、弊社の職場では誕生日、記念日、バレンタインなどに花束を飾る女子が少々いる。
どうやら彼女たちの旦那さんが、職場宛に花束を贈ってくるのだ。
もらう方の女子も手馴れたもので、マイ花瓶を机の引き出しに常備してるようで、花束をもらうと早速マイ花瓶に水を入れ、キャビネットの一番高いところに陳列する。
よって離れたところに座ってる私を含めた他の同僚も、あ、花もらったのねと合点するわけだ。

そして昨日も、去夏入社してきた女子が花束を展示してるのに気づいた。
ていうか、彼女の頭上には「Happy Birthday!!!」などと書かれた風船が3つも、天井まで高々と舞い上がっているので、その糸に沿って視線を下に下げてくとそこには勿論花束がございましたという、アホでも気づかざるを得ない仕込みとなってるわけだ。
出たよ、また、花を職場で受け取る女が・・・などと思いつつも、彼女の机の横を通る際には、風船が私の通行風によりボワボワ激しく騒ぎ立てるので、どうにもこうにも「お誕生日おめでとう!」と言うハメになるわけだ。
そして彼女も「ありがとう!フィアンセからなのよ」とか返答するわけだ。
そんな彼女は明らかにビジネスカジュアルからかけ離れた感じでドレスアップしており、退社後にはフィアンセとどこかのレストランにお祝いに行くのだろうなというのが容易に想像できる物々しい出で立ちである。

彼女「フィアンセからなのよ!」「旦那からザマスよ!」 リー「お、おめでと・・・・」彼女達「フィアンセからなのよ!」「旦那からザマスよ!」
ステラ・リー(私)「お、おぅ・・・」

ここでふと、自問してみた。この職場には、結婚してたり彼氏のいる女性がたくさんいるのに、なんでいつも特定の女子のみが会社で花を受け取ってるのだろう?なんで他の女子は受け取らないのだろう?

てか、結婚してるなら、家に帰ってきたときに直接渡すほうがよっぽど親密度が高いし嬉しくない?彼氏とかフィアンセで一緒に住んでなくとも、誕生日だったら退社後には会ってお祝いしてもらうんだろうし、そこで直接花をもらったほうがもっと嬉しくない?

一体、職場で花を受け取る女子どもには、受け取らない派とは違う、共通点でもあるのだろうか?

そこで私は、花を受け取る派の女子社員約10名近くを頭に思い浮かべ、何か共通項はないか様々な角度から吟味してみた。するとなんと、やっぱりいくつか一貫性があったりするわけだ!まとめると3つある。

  • お顔があまりかわいくない
  • 垢抜けない、服装とか頑張ってるんだけどなんかズレてて若干イタイ感じ
  • 押しが強い、強引

反対に言うならば、可愛かったり、洗練されてたり、大人しかったり物分りのよい女子たちは、職場で花を受け取ってないんだなということに気づく。

早速この発見をヴィックにチャットで送りつけ、同じように保守的白人だらけの職場で働いてきた立場として、なおかつ男性の立場としてどう思うか聞いてみた。

たしかに彼の職場でもその手の花をもらう女性がいるから納得するようで、男の立場からして職場に花を送りつけなくちゃならない理由として考えられるのは

  • 長年の付き合いのなかで、相手の女性が見せびらかすのが好きなタイプというのが分かってるから
  • なおかつ見せびらかしたいのは、もらった花束そのものもさることながら、そんな風に花束など「自分のためにお金を使ってくれる男」と一緒にいるという事実を誇示したいというのも分かってるから
  • 長年の付き合いのなかで、何をすると、というより何をしないとケンカになるか体得してるので、花屋のwebサイトにクレジットカード番号数桁の入力とボタンひとつクリックするだけで非論理的なケンカが避けられるならそのほうが精神衛生上よろしいから

なんか随分、後ろ向きなというか災害対策みたいな感じに聞こえてくるけど、ま、斜に構えたもの同士で思いつく理由なんてのはこんなとこだろうか。

でもこれって、新しいビジネスに結び付けられそうな予感がする。
オンライン花屋さんが幾多も出てきた今日、「彼女の大切な記念日に花束を贈る年間パッケージ」みたいのを作ってみるのはどうだろう。
彼女の誕生日、バレンタイン、結婚記念日、付き合い始めた日記念日、その他XXX記念日とかで年間5回、指定の日に指定の彼女の職場に送るパッケージ。
年の初めに一括払いすることで、逐一すべてのナンチャラ記念日を記憶しておく必要もなく、毎回オンライン入力してクリックする手間もはぶける。
もちろん、翌年の自動更新オプションも用意しといたほうがイイ。
これにより、「XXX記念日を忘れるなんてひどい!最低!」みたいな無意味なケンカを避け心の平静を保ちたいと思ってる数多くの男性を定期購入客としてガッツリ取り込めること間違いなしのはず。