この間ロゴ制作バトルロワイヤルに初めて立ち会いました。
倒れていった熊たちの熱き思いをこの世に残すためにも、記録をとっておきたいと思います。
これを読むと、会社のシンボルロゴが作られる過程が、ひよっこデザイナー視点でわかります。あくまでデザイナーの風上に置けないひよっこの視点ですので、あまりデザインの参考にはなりません。多分。
1シンボルロゴ制作バトルロワイヤルとは
会社名の横に何食わぬ顔で鎮座するデザイン達。彼らの体は単純な記号の組み合わせで構成されていて、苦労を知らぬ青二才に見えますよね。しかし、彼らが会社のシンボルロゴという玉座に腰かけるまでには、長い戦いに身を投じた歴史があるのです。彼らの勝利は同朋の屍の上に成り立っています。数多のデザインの中から一つを選び抜くまでの熾烈な争い。それがロゴ制作バトルロワイヤルです。
この方の一言によって、戦いの火蓋は切られました。
「会社のシンボルを、杉澤さんに、考えてもらおうかなー、と!」
CHIKUWA先輩です。「デザインわかんね~」って時に相談すると行き詰まりダサデザインを神デザインにしてくれる神デザイナーです。(先輩の記事はデザイナーとちくわ研究者にとって非常に勉強になる内容なので読むと有意義な人生を送れる可能性が爆増します。ひっそりとおすすめしておきます)
開戦の知らせ
新たな会社が発足することは知っていましたが、ロゴデザインに立ち会うことになるとは思いませんでした。わくわくですね。
まず、CHIKUWA先輩はシンボルロゴ会議に参加して入手した情報を共有してくださいました。これによって会議に出席している選ばれし社員の方々の欲しているロゴのイメージがわかります。
- 大志を抱くくま
- フリーベアー
- フライングベアー
- 上昇志向の熊
とにかく熊を欲していることがわかりますね。
次に、CHIKUWA先輩は、シンボルのラフを作るときの注意点を教えてくださいました。
- 80pxくらいにしても潰れない、細かすぎないデザインにする
- 会社の文字ロゴ(フォント:Futura)と合うような、丸めのデザインにする
- 二色以内で表現可能な汎用性の高いデザインにする(今のようなラフ段階では白黒で考えると良い)
とにかく使いやすくシンプルなデザインを欲していることがわかります。
まずはラフでいいので、考えてみてもらえますかー
了解です!
参加者が集う
CHIKUWA先輩から共有していただいた情報からイメージを膨らませていきます。私の場合はまず人に見せられないくらい汚い線を書きまくります。あまりまじまじと見ないでください。FireAlpacaというお絵かきソフトとWacomのペンタブを使用しています。
たくさんの熊たちが集いました。無限に時間があると無限に集うのでいい具合のところで締め切ります。こいつらは皆、会社のシンボルロゴになってやろうという大志を抱いてやって来たバトルロワイヤルの参加者たちです。
こいつらを戦わせてチャンピオンを決めたいわけですが、まずはとても戦えそうにないやつらをふるいにかける必要があります。
無益な戦いを避けるための選別
とてもじゃないが、こんな汚いラフのままCHIKUWA先輩に見ていただくわけにはいきません。清書して多少綺麗な理解しやすいラフを作ります。しかし、集った熊たちの中には、とても戦えそうにない貧弱な者たちも存在します。そいつらを清書してもこれからの厳しい戦いで勝ち残れるとは思えません。無駄な犠牲を出さないためにも、私の労力を抑えるためにも、彼らには国に帰ってもらいます。
清書が決まった者たちには赤数字を入れます。これがバトルロワイヤル参加券です。
階級を分ける
それぞれ熊たちには戦い方の流派が存在します。将棋の強い熊と戦車に乗った熊は戦えません。将棋士にはちゃんと将棋士と将棋で戦ってもらいたいですよね。彼らには同じ土俵で同士討ちをしてもらいます。そのために必要なのが階級分けです。
こんな感じで、参加券が配られた熊たちを思考の流れに沿ってカテゴリ分けします。このときカテゴリ分けしている間に、カテゴリと熊は減ったり増えたりします。ここら辺のぐちゃぐちゃ加減は世界に混沌をもたらします。
以下の階級が残りました。
- ふらいんぐま
- 上昇くま
- やる気くま
- らんにんぐま
- フリーベアー
- その他
この基準に沿って、熊たちをギリ人に見せられるくらいに清書していきます。まだイラレは使いません。FireAlpacaとペンタブで手書きです。そのため線はふにょふにょんしています。
6の『ギリくまじゃない』君はどこかで見たような気がすると思っていましたが、今考えると完全にフレーミーですね。NHK教育テレビの犬です。やはりくまじゃないですね。
このように、大分ふざけた感じの選ばれっこないだろう熊たちも一応数頭入れておきます。人生何が起こるかわからないからです。
あと、何も考えずに作ったデザインでも、なんかそれっぽい説明をつけると良く見えると教わったので、多少ポエマーしてます。定型文は「○○○で、○○○を表している」です。
準備が整ってしまいました。これから先、犠牲は増え、くまは減っていく一方になるでしょう。戦闘開始です。
1st Round
1st Roundでは、デザイン的視点からシンボルロゴとしての向き不向きを競います。戦いの手順はこうです。
- これらのギリ人に見せられる清書をCHIKUWA先輩に見せる。
- CHIKUWA先輩が、プロデザイナーとしての豊富な知識から、シンボルロゴに向いているデザインと、向いていないデザインを選別してくださる。
- 勝ち残った熊は2nd Roundへ。
すごいw たくさんありますねー ちょっとシンボルにしやすそうなやつ選んでみますね
ありがとうございます!
こうして熊たちはバトル会場へ去っていきました。
数分すると、生き残った者たちが帰ってきます。
1st Round通過者
CHIKUWA先輩の脳内乱闘で勝ち残った猛者熊たち
ピックアップした子たちを来週イラレ化できますかね
文字のロゴに合うように、手書き風じゃなくてシルエット的にしてもらいたいです
- しかくふらいんぐま
- まるふらいんぐま
- 4000年代の仮面ライダー(ここまで羽が細かくないタイプがいいかもです。サイズを80px位にしたときにつぶれないくらいにしたい)
- ホンキぐまEX
- ダークヒーローくま
- フリースタイルラッパー(手とか無しで顔だけでもいいかも?)
- 軟体くま
この辺りがシンボルにしやすそうですね
個人的には???がとても好きですが
会社のロゴだからどうしようwってかんじです
やっぱり杉澤さんはイラストうまい!
ほんとどれも捨てがたいですよー
でもシンボルってなると選ばないとなんですよねw
自慢を聞いてください。神デザイナーに褒められました。
ご機嫌な作者を尻目に熊達は次の戦いに向けて傷を癒していました。50頭近くいた熊達ですが、生き残ったのは8頭です。この戦いは最後の一匹になるまで終わりません。
2nd Round
2nd Roundでは、パスデータにしてみたときのロゴとしての向き不向きを競います。
- 1st Roundを勝ち残った熊のギリ人に見せられる清書を、CHIKUWA先輩の修正依頼を元にIllustratorというソフトを使ってパスデータにする。
- CHIKUWA先輩が①でできあがったデータを、グッズにしたときどう見えるか、文字と合わせたときどう見えるか等、総合的に考えてまた選抜してくださる。
- 勝ち残った熊は3nd Roundへ。
①が終わった時点のものがこちらです。
地味に増えました。8匹いたのが11匹になっていますね。軟体熊くんに関しては開眼要請が来たのでのち目覚めました。熊達はそれぞれの武器を手に、厳かな雰囲気を纏ってバトル会場へ向かっていきました。
2nd Round通過者
パスデータ選抜戦で勝ち残った熊たち
地味に減りました。11匹いたのが6匹になっていますね。
⇧今のはCHIKUWA先輩が作ってくださった会議資料の一部です。これが神デザイナーの力です。熊たちが美しくメイクアップされています。この段階でもうグッズの構想が始まっていますね。わくわくですね。
3rd Round
3rd Roundでは、シンボルロゴ会議に出席する選ばれし社員たちによる審査が行われます。
- CHIKUWA先輩が2nd Round通過者達をシンボルロゴ会議に連れていく。
- 壮絶なる会議が行われる
- 勝ち残った熊がシンボルロゴの座を獲得する。
ここから先、私にできることはありません。たくさんの犠牲の上にどの熊が王座を獲得するか見守りましょう。
延長決勝戦
やばいロゴがきまらない
シンボルロゴ会議に出席する選ばれし社員たちの間で派閥がとある二熊に分かれているそうです。
私には無事戦いが収まるよう祈る事しかできません。納期に間に合いますように。
勝者決定
私の見ていないところで壮絶なバトルが行われた結果、一匹の熊が会社のシンボルロゴという玉座におさまりました。最後に勝ち残ったのはこのクマです。
ホンキKUMAです。ここで衝撃の事実なのですが、バトルロワイヤルに参加した熊たちの中で唯一、この熊は私が考えた熊ではありません(フレーミーを除く)。この熊はヱノモトケンさんという神デザイナーのお考えになった熊です。(ヱノモトケンさんの記事も創作者全般にとって有益な情報の宝庫なのでひっそりおすすめしておきます)
ややこしい話なのですが、元々ヱノモトケンさんの作った熊として自社に居座っていたホンキKUMAの目を燃やしてバトルに参加させたら、2nd Roundの戦いで闘志の炎が消え、そいつがそのまま王者になったのです。つまり選ばれた熊は純度100%ヱノモトケンさんの熊です。やっぱり神デザインはわかるもんですね。
意外な結果に終わりましたが、たくさんのひよっこ熊たちの犠牲が選択肢としてあったからこそ、この一匹が勝利したことを忘れずにいたいと思います。ありがとう熊たち。
意外な結末
何日か経って、さらなるどんでん返しが起きました。先の戦で敗れたはずの熊達の中に一匹、生き残りがいたのです。生き残りの熊を支持する勢力は力をつけシンボルロゴ会議に臨み、ついに革命が起きました。
ホンキKUMA王政は倒れ、CHIKUWA先輩によってお化粧直しされた新たなシンボルロゴ王が誕生しました。熊王は今も下記サイトのどこかに居るよ!探してみよう!結果的にステマになりました。わざとじゃないです。
もう決まったものと思っていたシンボルロゴが一部の勢力によって覆ったようです。会議に参加していないので詳しくは知りませんが、予想外のことが起こるとめちゃ面白いですね。お仕事って。今回屍になってしまった熊達も、いつかどこかでデザインゾンビとしてよみがえるかもしれません。わくわくですね。