プログラマーという職種は、AIによる自動化の影響を強く受けています。
コードを書くという行為は、AIから見れば比較的扱いやすいものです。というのも、公開されたコードが膨大にあり、文法も明確で、入力と出力の関係が機械的に定義されているからです。ある報道では、米国において過去2年間で「コンピュータ・プログラマー(computer programmers)」という職種が約27 %減少したとされています。
プログラマーの多くが担ってきた「仕様書をもとにコードを翻訳して実装する」という工程は、手順が安定していて、同じ問題には同じ処理が求められます。こうした内容は、手順が固く、揺らぎが少ないため、AIが比較的高速に習得しやすい領域にあたると考えられます。実際、BLSはこの職種について「2024年から2034年にかけて約6%の減少を見込んでいる」としています。
一方で、データサイエンティストという職種は需要が伸びています。BLSによれば、「2024年から2034年にかけて約34%増加する」と見込まれています。データを扱う仕事には「正解があらかじめ決まっているわけではない領域」が多く含まれます。そのためデータは状況や文脈によって意味が変わり、同じ数値でも企業ごとの歴史や文化によって解釈が異なります。分析を通じて意思決定につなげるには、背景理解や課題設定、経営層への説明といった手作業が欠かせません。
こうした仕事は、入口も出口も毎回変わります。問題の定義、採用する手法、重視する指標、部門との合意形成など、その都度すり合わせが必要になります。手順が一定ではないため、機械が一度で最適解を返すことが難しい領域です。ここでは、業務の癖や顧客の行動パターン、組織の歴史といった数値化しづらい要素が影響を与えることも少なくありません。
AIは、手順が明確で再現性が高い仕事では圧倒的に強い力を発揮すると考えられます。しかし、状況によって前提が揺れ続ける場所では、人間による判断やすり合わせが必要とされるため、完全に置き換えることは難しいとみられます。プログラマーとデータサイエンティストの雇用動向に明確な差が出ているのは、どちらが優れているかという話ではなく、それぞれの仕事が前提としている構造の性質が異なるためです。
プログラマーが扱うのは、手順が固定され再現性の高い領域でした。データサイエンティストが扱ってきたのは、状況に応じて前提が揺れる領域です。この違いが、AIによる代替可能性に影響を与えていると考えられます。
AIの性能が上がるほど、構造が硬い仕事は効率化され、置き換えの対象になりやすくなります。反対に、揺らぎを含んだ仕事では、人間ならではの判断・すり合わせの余地があるため、むしろ存在感を増すことがあります。今後は、これまで硬い領域の仕事をしてきた人が、どのように柔らかい領域へ移っていくかが大きな課題になるはずです。



