データサイエンス

「データサイエンティストは行動経済学を学ぶと良いかも」と思った話

こんにちは!
分析官の望月です。

最近、とある写真投稿・共有サイトの分析に携わらせていただく中で、データサイエンスと行動経済学の親和性を強く感じる機会がありました。本記事では行動経済学について簡潔にご説明した上で、親和性を強く感じた事例とともに、データ分析に携わる人が行動経済学について学ぶメリットを個人の考えベースでご共有いたします!

行動経済学とは?

伝統的な経済学では人は常に”合理的”, “自制的”, “利己的”であると仮定したうえで、理論を積み上げてきました。しかし、現実では人は必ずしもそのように行動するとは限らず、伝統的な経済学では説明がつかないことが多々存在します。(減量してバキバキの体を作ろうと思っているのに、飲んだ後ラーメン食べちゃったとか。)そのギャップを埋めるために伝統的な経済学をもとに人の心理を取り入れてできた学問が行動経済学です。

とある写真投稿・共有サイトのお悩み

こちらのサイトでは「新規会員の定着率向上」という課題がありました。
データを眺めてみると特に会員登録から1週間以内で休眠してしまう会員が一定数存在し、まずは「この人たちにどうにかして継続していただきたい!」ということで1週間後も利用してくれる会員と休眠してしまう会員でどのような違いがあるのかを調べてみることにしました。

継続会員と休眠会員の大きな違い

いくつかの要因と継続/休眠の関係性を調べてみたところ、「自分の投稿した写真が他会員から評価されたことがある会員は継続しやすい」ことがわかりました。これに関してはまぁそうだろうなといった感じですが、もう少し深堀ってみると「他会員が投稿した写真を評価したことがある会員は継続しやすい」ことも見えてきました。さらに深掘ってみると、どうやら自分の投稿した写真が他会員から評価されたことがある会員は、他会員が投稿した写真に対して評価をしていることが多く、その結果評価を得やすくなり相互のつながりができるため、継続して利用していただく可能性が高くなることがデータから見えてきました。

継続/休眠と密接に関係する”返報性の法則”

あとあとになって知ったのですが、この事象は行動経済学でいう”返報性の法則”が働いているようです。返報性の法則は相手から受けた行動に対してお返しをしたいと感じる心理のことで、まさに今回のケースでは如実にこの法則が表れていると実感しました。

データサイエンティストが行動経済学を学ぶメリット

行動経済学という巨人の肩に乗った上でデータ分析に取り組むことで、例えば今回紹介したケースのように何かの原因を探るときに仮説が立てやすくなり、スピーディーかつ核心をとらえたデータ探索が可能になったり、データ分析の結果の理解が深まることに対してメリットがあると個人的に感じました。今からデータ分析を始めてみたいという方はSQLやプログラミングではなく行動経済学から学び始めるのもアリかなと思います。

さいごに

行動経済学について知見を深めたとしても、依然としてデータサイエンティストには丁寧かつ真摯にデータと向き合う姿勢が求められます。GRIの分析官は全員がこの姿勢を重視して日々の分析業務に取り組んでおります。

真のプロによる真のデータサイエンスに基づいて組織や社会全体の課題設定・解決をしたいと考えておられるご担当者様、ご連絡をお待ちしております。

mochizuki
データサイエンティスト。筋トレ、温泉、時々スキー。