REPORT
水処理施設でのセンサーデータを用いた予測AIによる工程異常の予兆検知を3か月で構築|イベントレポート
2024年11月29日、RED° TOKYO TOWER(東京・港区)にて、DX担当者向けセミナー「【あらゆる業界必見】3ヶ月でAI実装を実現!大手製造業から学ぶ 現場が動くDXの極意〜90日間の無料アカウントで実践できるハンズオン付き〜」を開催いたしました。 本セミナーは実データを駆使したAI活用から得られる知見や洞察を参加者同士で情報交換できるイベントとして実施し、多くの皆様にご参加いただきました。
東日本電信電話株式会社(現:NTT東日本株式会社)、栗田工業株式会社、エクスチュア株式会社の各ご担当者様にご登壇いただき、予測AI & 生成AIを活用した事例をご紹介いただき、弊社、株式会社GRIからも生成AIとデータ基盤構築の事例についてご紹介いたしました。
本イベントレポートでは、栗田工業株式会社の青山恭隼氏が発表された「水処理施設でのセンサーデータを用いた予測AIによる工程異常の予兆検知を3か月で構築」の事例をわかりやすくご紹介いたします。
本セッションでは、同社の水処理ソリューションにおいて蓄積されたセンサーデータをより高度に活用するため、予測AI「Forecast Flow」を導入した事例についてご紹介いただきました。
青山恭隼氏
栗田工業株式会社 デジタル戦略本部
※法人名、役職、内容などは2024年11月時点の情報です。
水処理ソリューションを提供する栗田工業の抱えていた課題
属人化したレガシーシステムにより柔軟なビジネスニーズへの対応や拡張性に課題
栗田工業株式会社は、東京・中野区に本社を置き、主に産業向けの「水処理」ソリューションを提供しています。具体的には、半導体工場向けの超純水供給装置の設置や、工場排水を河川放流基準に適合させるための薬品・水処理装置の導入などを行っています。これらの装置には多数のセンサーが取り付けられており、収集されたセンサーデータは本社で遠隔監視をしており、問題があれば現場のメンテナンス員が駆けつけることで、工場の安定稼働や省エネ・節水に貢献しています。当社では20年ほど前からセンサーデータの収集・集計・可視化を行ってきましたが、当時のシステムは数万行のソースコードで属人化しており、柔軟なビジネスニーズへの対応や拡張性に課題を抱えていました。
データ基盤の構築
これらの課題を解決するため、現在、SnowflakeとMatillionを中心とした水処理データ基盤の構築を進めています。この基盤には現在、数千台の水処理装置からIoTデータ、点検データ、水質データなどが継続的に流れ込んでおり、その活用を推進しています。
ForecastFlowによる予測AIの導入と効果
蓄積されたデータをより高度に活用し、事業貢献するために「ForecastFlow」の仕組みが導入され、3か月という短期間での予測AIの実装を実現しました。
水処理装置のセンサーデータから「水質の値」や「装置の問題発生確率」を機械学習で予測し、必要に応じて事前に対応を打つことで、問題や課題を未然に防ぐことを目指しています。

導入前は栗田工業の解析者がローカルPCでモデルを運用し、結果を現場責任者にフィードバックしていましたが、データ基盤とForecastFlowの導入により、データ取り込み、モデル管理、推論、可視化までが自動化されました。これにより、手動での作業が不要になり、毎時新しい予測値が得られるようになりました。

ForecastFlowの導入により、異常値検知までの時間が大幅に短縮されるという効果がありました。 また、PythonやSQLに不慣れなビジネスユーザーも社内に多いため、そういったユーザーでもデータを投入するだけで簡単に機械学習を試すことができ、AI活用のハードルが大幅に下がりました。訓練モデルの作成や推論結果の出力は数分で実行できるので、気軽に試してみたいときにすごく便利だなと思っています。
パイプライン設計やモデル構築などトータル3か月でしっかりした予測AIを実装することができました。
データ準備は栗田工業、モデル作成・ダッシュボード作成はGRIさんが担当し、この仕組みの実現にかかった費用は約500万円でした。一度この仕組みを作っておけば、データが流れる仕組みはできているため、他のプロジェクトでもそのまま再利用できる柔軟性があります。
全体アーキテクチャとダッシュボード
予測AIシステムの全体アーキテクチャは以下の通りです。

- Snowflakeにクリーンなデータを集約します
- データはSnowflakeからForecastFlowに渡され、そこでモデルの訓練や推論が実行されます
- ForecastFlowで生成された予測結果は再びSnowflakeに戻します
- 予測結果とSnowflake内の他のセンサーデータが統合され、Tableauで可視化されます
構築されたダッシュボードでは、予測結果のグラフと、それに影響を与える説明変数となるセンサー値のトレンドを同時に表示します。これにより、予測値が悪化した場合に、どのセンサーが影響しているのかを一目で把握でき、現場の担当者が迅速に対応すべき箇所を判断できます。また、Tableauの機能により、特定のしきい値を超えた場合に担当者へアラート(メールやTeamsチャットなど)を自動で送信する仕組みも構築されており、例えば「1時間後に装置異常が80%の確率で発生する」といった予測が出た場合には、すぐに対応を開始できます。
今後の活用戦略
クリタグループでは数十年前から現場にセンサーを付けてデータ収集・データ活用をしています。機械学習や生成AIなどといった技術をフル活用して競争優位性を高めていく必要があります。データ基盤で「綺麗なデータ」をしっかり整備した上で、目的に合った多様なツールを組み合わせ、継続的に価値を創出していく戦略づくりをしている段階です。
機械学習や生成AIでは、ForecastFlowは機械学習を手軽に試したいビジネスユーザーや、ノーコードでのモデル管理を求めるユーザー向けに活用していきたいと考えています。他方でコードを自由に書きたいエンジニア向けにはSnowflakeのSnowpark ML Model Registryを使用してもらうといった使い分けをしています。
また、現在、独自の生成AI基盤の構築も進めています。テキスト、音声、画像、センサーデータなど、データの種類に応じて最適なモデルを選択・組み合わせ、柔軟に結果を出力できる基盤を整えることで、センサーデータに対するアドホックな分析や、チャットボットの開発、アプリケーション開発MVPフェーズの開発効率向上を実現したいと考えています。
今後は、クリーンなデータ基盤を土台に、目的に応じたソリューションを使い分けることで、データ活用を推進していきたいと考えています。
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