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「道の駅」がスゴイ
編集長の近藤です。
みなさん「道の駅」というのはご存知でしょうか。
車で移動する方にとってはお馴染みかもしれませんが、高速道路にあるサービスエリアやパーキングエリアの一般道版と言うと分かりやすいかもしれません。
2007年(平成19年)に東京で初めての道の駅が八王子にできて、ついに47都道府県全てに道の駅ができました。
そのため、東京都民の方が全国で一番馴染みが薄い可能性があります。
そんな道の駅、ドライブなどで遠くに行く際には、見つけると必ずと行っていいほど入ってしまいます。
特に最近は各地にある道の駅はどこもかしこも混んでおり、一体この盛り上がりは何なんだろうと常々思っていました。
今回少し調べましたので、その内容を書きたいと思います。
■道の駅とは何ぞや
Wikipedia を見てみると
道の駅(みちのえき)は、国土交通省(制度開始時は建設省)により登録された、休憩施設と地域振興施設が一体となった道路施設。道路利用者のための「休憩機能」、道路利用者や地域の人々のための「情報発信機能」、道の駅を核としてその地域の町同士が連携する「地域の連携機能」という3つの機能を併せ持つ。
Wikipedia:道の駅より引用
とあり、国が管理している施設であるのが分かります。
また、「休憩機能」「地域の情報発信機能」「地域の連携機能」という3つが核となっているようです。
国土交通省のサイトを見てみると、設置に当たっての条件はいくつかあるようですが、注目すべきは地域側施設の設置者は「市町村または市町村に代わり得る公的な団体」とあります。
つまり、国の管理のもと地方自治体が設置を担い、一般道に隣接する「休憩機能」「地域の情報発信機能」「地域の連携機能」を備えた施設ということが言えます。
■規模数の遷移
最近はずいぶんたくさん目にするようになりましたが、一体どの程度の数があるのか?
国土交通省のサイトに数値がありました。ちょっと分かりにくかったため簡単にまとめました。
これを見てみると、右肩上がりで増え続け、今では全国に1,030施設もあるようです。
最近は少し新規の施策が少なくなってきていますが、毎年増えているということは、それだけ効果(集客、売上げ等)があるということでしょう。
■驚きの継続力
上記の表にしてみてちょっと驚いたのが、毎年増え続ける一方で、消滅(潰れる)施設がほとんどない、ということです。
H5からH26までの21年間で、できた施設は「1030」に対して、消滅した施策はわずか「2」。
登録数が多い H5から H11年の施設ですら、15年以上たってもほとんど消えずに今も継続していることになります。
これには正直、非常に驚きます。
詳細は分かりませんが、おそらく以下2つの理由のどちらかではないでしょうか。
・継続できるだけの売上げ(利益)が上がっている
・税金(補助金)でなり立っている
■一体誰がやってる?
一般的にお役所主導の施設は、建物はできるが、イマイチ利用されない、活躍できない建物が多い印象があります。
ただ、私が今までに訪れた道の駅はどこもかしこも、人で溢れ、奇麗で大きな施設が多くありました。
また、前述したように、消滅数が少ないことからも分かるように、一般企業から見ると非常に失敗リスクの少ない投資事業にも思えます。
ここに一企業が参入する術はないものなんだろうか。
Wikipedia をもう少し見てみると以下の記述がありました。
道の駅は、道路管理者の国(地方整備局)や都道府県が基本的な施設である駐車場やトイレを整備し、市町村、またはそれに代わり得る公的な団体(ほとんどは第三セクター)が地域側施設を設置する形が取られる。
Wikipedia:道の駅より引用
これを見る限り実際の運営等については、民間企業が入っているところもありそうです。
ただ、今まで見てきた感じでは、施設には地元のお店や農業生産者を中心として、基本的にどこかの企業の商業利用の匂いがあまりしません。
各地の1000もある道の駅がその土地の人達の運営でまかなっていると考えると、今までの企業のお店の出店概念や企業活動とあまりにもかけ離れている印象があります。
マネジメントや営業活動、マーケティング活動などどうしているんだろう。いわゆる企業活動に必要なパワーは必要とされていないのではないか、どういった運営をしているのか、非常に興味深いものがあります。
■どれだけ売れているのか?
詳細な数字はあまり見つかりませんでしたが、2010年の日テレ「バンキシャ」のサイトに人気(売上げ)ランキングがありました。
人気のある所だと1つの施設で年間数十億円規模の売上げになっているようです。
施設数は1000を超えるので、全体では数百億円からもしかしたら数千億円規模の売上げに成っているかもしれません。
似た業界のスーパーの売上げ規模と比較してみましょう。
日本チェーンストアが公開している販売統計を参考に比較してみます。
・道の駅ができた H5年の全体の合計販売額が「1,544,441,328(万円)」。
・直近のH25年の全体の合計販売額が「1,272,244,966(万円)」。
この20年間で約3兆円の売上げ減となっています。
一体この3兆円はどこにいったのだろうか。
もしかしたら、ですが、3兆円のうちの数%から10%くらいが「道の駅」に流れているのでは、と思うのは考えすぎでしょうか。
断言するには情報が足りないですが、「道の駅」は全国のスーパーから顧客を奪い、新しい市場を作ってきているように思います。
■なぜこれだけ盛り上がっている?
あくまでも推測ですが、ドライブの「休憩」がてら「その土地のその場でしか手に入らない質のよいもの」を知る・入手できる「道の駅」という全国規模のブランドが作られてことが一番大きいように思います。
似た業態の全国規模で展開しているスーパーとの比較としては、
スーパー | 道の駅 | |
---|---|---|
建物 | 全国統一 | 地域により様々 |
売物 | 全国統一 | 地元のものが中心 |
「全国展開のスーパー」の中身は、全て一緒という安心感ではありますが、「道の駅」という全国統一のブランドの中身は地域特性を活かした多様性ということにつきると思います。
また、全国展開のスーパーは大きな駐車場を備えてはいますが、あくまでもお店で買う人の為の駐車場です。
一方道の駅は「休憩」という機能を持つことが前提になっているため、駐車場に入るだけでも全く問題ありません。
その入るための敷居の低さというか、出入り自由というのも、人気の秘訣かもしれません。
どうしても効率性を追い求めると、全国展開のスーパーのようになってしまうかと思いますが、道の駅のような全国展開の方法があるのだということが、国の施策ではありますが、何とも新しい商売の方法のように思えて興味深くあります。
スーパーやコンビニとはひと味違う、新しい流通の形として、これからもウォッチしていきたいです。
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