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家族写真のすすめ:平野真弓の写真コラム
家族で撮るというのは簡単そうでなかなか難しい。お父さんが撮るとお父さんが写らない。誰かに「撮ってください」とお願いするのも勇気がいるし。家族全員で写るのは至難の技なのです。
スタジオ卒業が近くなったある日、作品のモデルにその頃家族の増えた友人に声をかけたら快く受けてもらえた。もうずいぶん経つけれど色あせないなぁと。自分の作品を見て思う。何にもない真っ白なスタジオだったけど家族のエネルギーでずいぶん華やかに感じた。
我家も数年前からお正月に家族写真を撮るようになった。三脚にカメラをつけてファインダーを覗く。みんなを並べて自分の立つ位置を決めてタイマーにしてシャッターを押したら走る。誰かの機嫌が悪くても、楽しそうに横を向いてても、抱いてた犬が逃げてもみんなが写ってるとそれだけでいいなと思える。
いつか開く未来のアルバムに家族全員の写真があるといい。その頃はわからなかったことが見えるかもしれないし、笑ったり泣いたりするときにもきっと役に立つのだと思うのです。カメラと三脚、知らない誰かに声をかける勇気、もしくは近くの写真館ですぐ手に入れることができる大事な一枚。
(著者について)
平野 真弓
フリーランスフォトグラファー
1980年岡山県生まれ
東京工芸大学 写真学科卒
スタジオ勤務を経て2010年独立
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