ETHNOGRAPHY
一人旅や初めて行く土地をたっぷり楽しむには? – 「私の街を案内します委員会」が欲しい!
大人なら、ちょっとした「一人旅」ってあると思います。
仕事がらみの出張だったり、連休がぽっかりあいたから話題の北陸でも行ってみようかな、いやそれともソウルが安くて楽しいかなって感じです。
さて、そんな一人旅、あなたは現地でたっぷり楽しめますか?
僕は正直に言ってしまえば、「美味しい郷土料理が楽しめる居酒屋」とか「今、ソウルで一番面白いジャズが聞けるライブハウス」とかにすごく行ってみたいのに、結局その辺の東京にもありそうな雰囲気の良いカフェに入って、ビールを飲んでホテルに戻っちゃうんです。
で、ホテルに温泉があったらそこに行って、その後は売店でまたビールを買って、ロビーでぼんやりしたり、メールをチェックしたり、本を読んだりします。
そこが外国なら、近所のコンビニみたいなお店に行って、ワインとかその国ならではのオツマミみたいなのを買って、ホテルに戻って、メールをチェックして、外国語でよくわからないけどちょっと面白いテレビを観たりして、結局は時間をつぶしてしまいます。
もちろん妻と二人で行く旅だったり、その街に僕の友達がいたら、夜の街に繰り出すのですが、正直、一人だと「地元の常連だけで盛り上がってそうな居酒屋」や「言葉が通じなくて今一つシステムがわからないライブハウス」なんかにはまず行けないんです。

Photo by Alan Levine
そこで思いついたのですが、こんなサービスはどうでしょうか?
その街の商工会議所や地方自治体がお金を出して、「私の街を案内します委員会」というのを作って、そこにその街のボランティアの人たちを集めまて登録してもらいます。
10人とかじゃなく、100人や1000人も登録してもらうんです。
で、写真付きで「友達に飲食業の人間多いです。日本酒大好きです。」とか「英語わかります。ライブハウスやクラブ詳しいです。」とか「ワイン好きです。IT系で働いています。」といったちょっとした自己紹介が書いてあるんです。
そしてその街に初めて来る人で、でもその街には全く知り合いがいない場合、その「私の街を案内します委員会」のサイトに訪れて、いろんな人たちのプロフィールや写真を見て、「この週末にあなたの街に一人旅をします。夕方あたりから安くて美味しい居酒屋に連れていってもらえませんか?」って連絡をするわけです。
もちろん「いろんな事故」が起こる可能性もあるので、お互いの身元をちゃんとわかりあうシステムを作るのが一番難しいとは思います。
あとから「星で評価」システムが良いのか、それともFBを公開している人にすべきなのか、あるいはお互いの具体的な勤務先や家族構成なんかも全部伝えてから会うとか、いろんな方法はあると思います。

Photo by Guian Bolisay
でも、ちょっと想像してみてください。
全く知りあいのいない金沢に行ったとします。
で、そのサイトで知り合った「地元の元気なOL二人組」なんかと地元の美味しい居酒屋に行けたら楽しいですよね。
あるいは男女逆で「地元のお洒落な美容師とアパレル店員男性二人組」にライブハウスやクラブに連れていってもらったら楽しいですよね。
そしてもちろん今、日本には外国人がたくさん旅行に来ています。
彼らって「寿司屋」と「お寺」だけじゃなくて、本当は日本人だけが楽しんでいる面白いお店に行きたいんですよね。
例えば僕は外国の友人が来たら、必ずロス・バルバドスさんというアフリカ料理のお店に連れていきます。
そのお店は店主がベーシストで奥様のお話も面白くてすごく明るい雰囲気なので、確実に全員が「うわー、東京にこんなお店があるんだ」って喜んでくれるんです。
でも、フラッと日本に一人で旅行に来たら、まずそのロス・バルバドスさんのようなお店にはたどり着けないですよね。
あるいは、その外国人をその地域の学校に連れていけるとか、市民会館みたいな場所に行って、その地方のおじいさんやおばあさんと話してもらうというのもありかもです。
そういう「日本に来た外国人」も対象にしたら良いと思います。
その動きって、ただの「ボランティア」じゃなくて、確実にいろんなお店でお金を落とすし、その後、その街が気に入って何度も来たり移住するかも知れないし、何か新しいビジネスが始まるかもしれません。
以前なら「カフェでビールを飲んで、そのままホテルに戻っていた旅人」が一気にその街のファンになる可能性が増えるんです。
良いと思うんですけど。「私の街を案内します委員会」。
■著者について
林 伸次
林 伸次 1969年徳島県生まれ。中古レコード店、ブラジルレストラン、バー勤務を経て、1997 年渋谷にbar bossaをオープンする。選曲CD、CD ライナー執筆多数。『カフェ&レストラン』(旭屋出版)、『cakes』で、連載中。著書『バーのマスターはなぜネクタイをしているのか? 僕が渋谷でワインバーを続けられた理由』(DU BOOKS)
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