ETHNOGRAPHY
日本の音楽は世界に通用する! – 外国人が日本の音楽に出会えるサイト(が欲しい)
先日、あるレコード店でいた時のことでした。
一人の白人男性が日本のジャズミュージシャンのレコードを手にレジの方に行き、「これどんな感じ? 良い?」みたいなことを英語で質問しました。
すると店員が「Listen?」みたいなことを言って、試聴させてあげたんですね。
そしたら白人男性が「なるほど。そういう音なんだ」みたいなことを言って、「ありがとう」って言ってレコードを戻そうとしました。
すると店員が「ジャズ・ミュージシャン、誰好き? ハービー・ハンコック? セロニアス・モンク? マイルス・デイヴィス?」って感じで、すごくブロークンな英語なんですけど、世界共通のジャズ・ミュージシャンのアーティスト名を羅列しました。
そしたらその白人男性が目をキラっとさせて、自分が好きなアーティストやアルバム名をバラバラバラって言ったんです。
すると店員が「OK」って言って、レコード棚の方に歩いていき、いくつか日本のジャズ・ミュージシャンのアルバムを持ってきて、その白人男性に聞かせました。
そしたらその白人男性が「great!」とか「wao!」とか言って大喜びだったんです。そして、「白人男性が自分が好きなアーティスト名やアルバムタイトルを言う。店員がまた別のレコードを聞かせる。」という、そのやりとりを何度も重ねて結局何枚か買っていったんです。たぶん支払い的には1万円はこえていたと思います。

Photo by Christian Kadluba
それで気がついたのは、日本の音楽は水準はすごく高いし、ちょっと世界の流れとも違う日本独自の世界観もあるので、ちゃんと英語で解説して、ちょこっとだけ聞かせたら買う人は世界中にたくさんいるということです。
「そんなの知ってるよ。当然だよ」という声が聞こえてきそうですが、今は配信で音源を売れるので、そういう英語サイトを作った方が良いと思います。
まず「JAPANESE MUSIC」というサイトがドーン!とあります。
そこから「演歌」や「邦楽」、「日本のジャズ」、「アイドル」、「日本のヒップホップ」って感じでジャンルが分かれているわけです。
そこをクリックして進むと、まず演歌の説明や歴史が動画付きで詳しく英語で解説されています。楽譜的に詳しく説明されていたり、こういう作曲家や作詞家がいて、こういうレーベルがあって、というのも解説されていて、クリックするとドンドン進んでいきます。
もちろん都はるみとか森進一みたいな名前があって、詳しくそこでもプロフィールから解説されています。
そしてそのアーティストのアルバムやシングルをクリックすると、そこで初めて音源へと飛ぶわけです。
バック・ミュージシャンも出来る限り詳しくのせましょう。そしてそのバックミュージシャンをクリックすれば、実は日本のジャズ・ミュージシャンのページに飛んでいったりすることもあって、「あ、実はこの時期の演歌のサウンドって、こういうジャズ出身のミュージシャンが演奏していたんだ」なんてこともリアルにわかるわけです。
もちろん山下達郎やYMO、中島ノブユキといった音楽も、ドンドン進んでいきます。
これ、ひとつのレコード会社が小さくやるのではなく、全ての音源を持っているレコード会社を集めて、古いのから最新のも、歌謡曲なんかも全部網羅しているサイトを作れば、確実に世界には「音源を買う人」何万人もいると思います。
いろんなテキストをまとめるのが大変そうなので、ウイキペディア方式で、英語が出来て、日本の音楽を世界に広めたい人たちに書いてもらいます。
そして、「どういう人が書いたか」というのもちゃんとクレジットされていて、「なるほど。この人が解説したミュージシャンは自分の好みみたい」と消費者が気がつけば、その評論家が選んだ音楽だけを並べることも出来ます。
そしてその評論家のテキストがたくさんクリックされたり、その評論家がプッシュする音楽が実際に売れたりすると、その売り上げの何パーセントかは、その評論家にも振り込まれるわけです。
そういう風にすると、争ってみんなが英語で書き込むだろうし、有名なのはアッという間にみんなが書いて紹介してしまうだろうから、その後はマイナーだけど売れる可能性があるから紹介したいなんて感じの良い展開が期待できそうです。

Photo by Knar Bedian
ちょっと事情はよくわからないのですが、音楽部門で成功すれば、「マンガ部門」とか「アニメ部門」とか色々と他の日本のコンテンツも売れそうです。
一番最初の仕組みを作るだけで、やり始めた人、天下をとれそうな気がするのですがどうでしょうか。
■著者について
林 伸次
林 伸次 1969年徳島県生まれ。中古レコード店、ブラジルレストラン、バー勤務を経て、1997 年渋谷にbar bossaをオープンする。選曲CD、CD ライナー執筆多数。『カフェ&レストラン』(旭屋出版)、『cakes』で、連載中。著書『バーのマスターはなぜネクタイをしているのか? 僕が渋谷でワインバーを続けられた理由』(DU BOOKS)
■林さんご登場ページ
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