ETHNOGRAPHY
これでもう困らない!? 東京”キスが出来るポイント・マップ”
bar bossaの前って、以前は渋谷ビデオスタジオがあって、真っ暗だったんです。
だから、bar bossaを出た後、数十歩歩くとキスが出来たらしいんですね。
でも、最近は大きいビルが出来るらしくてもう毎日が工事の人や音で大騒ぎなんです。
さらに目の前に明るい飲食店が出来てしまったので、bar bossaを出た後でキスする場所がなくなっちゃったんです。
これが評判が悪いんですよね。
僕は、「お店を出てからしばらく50メートルくらい歩いたら、右側に駐車場があるから、そこでキスできますよ」って勧めているのですが、「え、ちょっと地図書いて」とか言われてると、彼女がトイレから戻ってきて、「え? 何の地図書いてもらってたの?」なんて言われたりして、なかなか難しい状況なんです。
冗談抜きで、「ちょっと東急文化村の裏の方から松濤の方に行ったらキスできます」とか、「渋谷の駅の方は子供で騒がしいから、代々木公園の方から帰ろうか、って提案したら緑道のちょっと入ったところでキスできます」とか、教えたくなるんです。
ところで今、奥渋谷が流行ってるのはご存知でしょうか?
渋谷の東急本店からアップリンクの方に行って、シブヤパブリッシング&ブックセラーズの前を通って、チョコの店●の前を通って、富ヶ谷の交差点をこえて、代々木八幡や代々木公園の入り口あたりまでをそう呼ぶそうなんです。
この地域、流行っている理由は「恵比寿、中目黒方面が家賃が高くなりすぎて、小さい個人店が成立しなくなったから、安い家賃の富ヶ谷方面に移動している」とか、「恵比寿、中目黒はお笑いタレントとかそういう芸能界っぽい感じが濃くなってきたけど、奥渋谷の方は、アップリンク、シブヤ パブリッシング&ブックセラーズ、白寿ホールがあって、文化の香りがする」とか、色々言われていますが、一番大きいのは、「緑道とか代々木公園とかがあって、キスがしやすい」のような気がしています。
それで考えたのですが、東京「キスが出来るポイント・マップ」っていう本、どうでしょうか?
例えば銀座で食事をしたらみんなどこでキスをしているのでしょうか? 日比谷公園まで歩いているのでしょうか。
新宿で食事をしたら、やっぱり御苑の方に歩いていくのでしょうか?
そういうキスポイントはもちろん、その後、この辺にホテルがあるとか、タクシーが拾えるとか、そういう「ムフフ地図」、需要がある気がします。
さらに「デート・コース」もお願いしたいです。
実は僕はデートは動物園が好きなんです。動物を見ながら女性と話をするの、楽しいんです。小さい頃の話になったりするし、意外な表情が見れたりするし。でも、上野動物園に行った後ってどこにも次の場所がないんです。
あるいは現代美術館にデートで行ったとしますよね。その後はみなさんどうしているのでしょうか? どこに行けば、楽しいデートが続行出来るのか、知りたいんですよね。
「散歩コース」みたいな地図って、その街で作って配布したりしていますが、東京都内のいろんなデートコースの本があれば良いと思うんです。
そしてもちろん、「キスが出来るポイント」もあれば嬉しいです。「ここに行けば夜景が見えて、自然とキスが出来る」とか「この辺りを歩いていると、突然海の前に出るからロマンティックな気分になれる」とかアリだと思うんです。
「ここは急な坂道になっているから自然と手をつないで二人が接近できます」とか
「この辺りはちょっと薄暗いので、彼女を守る感覚でそっと肩に手をまわせます」とかいうポイントもあります。
この神社は「縁結びの神様」がいるとか、このコースはあの映画で誰と誰がデートしていたところだとか、このお店は誕生日のサプライズをしてくれるとか、そういう「デート周り」の情報も楽しいです。
はい。いろんな飲食店からの広告や美術館や映画館からの広告もいただけそうです。
もちろん、ホテル情報もあると良いですね。「近くのホテル、今から予約可能」って条件を入れて検索すると「こんなホテルはどうでしょうか?」ってオススメしてくれたら最高ですよね。
いろんな方に「僕の好きなデート」っていうエッセイみたいなものを書いてもらうとさらに良いかも知れません。例えば既婚男性作家に「もし、もし、若い女の子と東京をデートするとしたらどうしますか?」っていうエッセイを書いてもらったら、面白そうです。村上春樹とか穂村弘とか…。谷川俊太郎のデートコースも知りたいです。公園とか行きそうですね。
うーん、書いてて楽しくなってきたのは、やっぱり「デート」って楽しいんですね。そういう「デート地図そしてあるいはキスマップ」、って感じのアプリかサイト、あると重宝されると思うのですが。どうでしょうか?
■著者について
林 伸次
林 伸次 1969年徳島県生まれ。中古レコード店、ブラジルレストラン、バー勤務を経て、1997 年渋谷にbar bossaをオープンする。選曲CD、CD ライナー執筆多数。『カフェ&レストラン』(旭屋出版)、『cakes』で、連載中。著書『バーのマスターはなぜネクタイをしているのか? 僕が渋谷でワインバーを続けられた理由』(DU BOOKS)
■林さんご登場ページ
■bar bossa http://www.barbossa.com/
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■cakes https://cakes.mu/creators/290
■ハフィントンポスト http://www.huffingtonpost.jp/shinji-hayashi/
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