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気になるお仕事の値段を比較 – お仕事の価格相場サイトとは?
最近は大企業がいつまでも存続するわけではないということがわかってきたし、就職できたからといっても、年功序列でそのまま給料が右肩上がりを約束されているわけでもないということも常識になってきましたよね。
そんな雰囲気だからなのか、僕のところに「飲食店を開くのってどのくらいのお金が必要なんですか?」ということを相談に来る人もいます。
店舗の物件の取得には大体このくらいの金額が必要で、というところまではみなさんちょっと調べたらわかるようなのですが、その後の「店舗の内装の工事費」や「もしインテリアデザイナーを使うとしたらどのくらい費用がかかるのか」とか、「お店のHPの制作費」や「ショップカードやダイレクトメールの制作費」といったものの金額をあまりわかっていません。
さらに、人を雇うとなれば、普通の20代のアルバイトなら時給1000円くらいからと考えていいのですが、焼き物からお刺身まで全部できる板前さんやフルコースを全部担当できるフレンチのシェフの人件費がどのくらいになるのかということも知りません。
もちろんそういうことは全部お任せで、飲食店プロデュースの会社にお願いしてしまっても良いのですが、本当は自分でひとつひとつ検討しながら動きたいですよね。
あるいは僕が経営しているbar bossaでは、たまにライブを入れたり、イベントをやったりしているのですが、同業のカフェ経営者とかに「あのくらいの有名なアーティストだと、一回ライブをやってもらうのにどのくらいの金額が必要なんですか?」とか「イベントのスペースとしてお店を貸す場合、金額の相場ってどのくらいなんですか?」という質問もよく受けます。
それで、思ったのですが、「お仕事の価格相場サイト」というのってどうでしょうか?
例えばミシュランの星付きレストランで5年以上働いたシュエフなら年収の相場はこのくらいです。寿司職人で築地の仕入れから仕込みまで全部任せて給料はこのくらいです。という風な目安があるわけです。
もちろんHPの作成も、こういうパターンならこのくらい制作費がかかります。というのがたくさん表示されていて、それを見ると「じゃあこの部分は業者さんに任せて、それ以外の写真の部分は友達のカメラマンに任せて」といった判断が出来るわけです。
もちろんミュージシャンの金額もわかります。その金額を見て、「だったらこういうイベントを開いて、宣伝にこのくらいかけて、チケット代はこのくらいでと考えたら、儲けはこのくらいになるな」っていうのも判断できるわけです。
そしてそのサイトにはたくさんのリンク先がありまして、「ミュージシャンをお探しでしたらこちらの会社であなたのイベントにぴったりのバンドを捜します」とか「飲食業に関係している人材ならソムリエからバーテンダーまで私たちが探します」とか「デザイナーでしたら私たちが」「内装工事なら私たちが」といった会社が集まっているんです。
もちろんこれはもう少し広がります。
「店舗の物件をお探しでしたら、こちらの不動産に」というリンク先もありますし、コンサルタントやプロデュースをする会社も参加できます。
そして、このサイトは「仕事って何だろう?」、「自分の仕事っていくらが適正価格なんだろう?」、「自分の能力に見合った面白そうな仕事ってないかな?」といった職業に悩んでいる若者やフリーランスで働いている人たちもチェックすることになるはずです。
「そうかあ。今の派遣会社の紹介でシステムエンジニアをやっているよりも、板前さんになった方が給料はよっぽど良いんだなあ。転職してみようかなあ」とか「今までデザイン仕事やってたけど、普通はもう少し高くもらっても良いんだ。このサイトを見せて、もう少しギャラを上げてもらおうかな」といった人も出てくるはずです。
ということはリンク先として、「デザイナーの専門学校」や「調理師専門学校」みたいな機関も参加してくれるわけです。
そしてこのサイトの運営は、それらのリンク先の「人材を紹介する会社」や「コンサルタント会社」、「ミュージシャンの事務所」や「不動産業者」や「専門学校」から費用をいただくわけです。
ネットが出てくる以前は細かい情報は専門家や経営者だけしか知らなくて、新しいアイディアを持った若者が参入できませんでしたよね。
でも、このサイトが出現すれば、大体の価格が明らかになって、「フレンチのシェフってこのくらいで働いてくれるんだ。だったら、今、自分が持っている物件はカフェにして、日曜日はイベントをやってって考えると、儲けはこのくらいだから大丈夫だなあ。やってみようかなあ」って人が出現します。
今まで参入できなかった新しい感覚を持った人が他業種に入ってくると、いろんな面白いことが始まりますよね。もちろん経済効果や若者の新しい職も増えます。
どうでしょうか。こんな「お仕事価格サイト」。
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著者について
林 伸次
林 伸次 1969年徳島県生まれ。中古レコード店、ブラジルレストラン、バー勤務を経て、1997 年渋谷にbar bossaをオープンする。選曲CD、CD ライナー執筆多数。『カフェ&レストラン』(旭屋出版)、『cakes』で、連載中。著書『バーのマスターはなぜネクタイをしているのか? 僕が渋谷でワインバーを続けられた理由』(DU BOOKS)
林さんご登場ページ
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