ETHNOGRAPHY

お洒落な人にお願いしたい! – トータルコーディネート定期便

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渋谷 Bar Bossaのマスターが、カウンターの中から観察した世の中の“不便”に斬新なアイデアを提案する連載!

 

タートルネックの薄手のニットの上にシャツを着ているのって、「文科系お洒落さんに見えるかな」と思って、毎年、冬の定番にしていたのですが、一昨年の冬に「あれれ、この格好っていかにもバブル経験者って感じのオジサンしかしていないんだ」って気がついて、その頃から、自分の服装がオジサンなのかどうか、くよくよ悩むようになったんです。

あるいは夏、Tシャツの上に襟付きの長袖のシャツをはおって、さらにその長袖のシャツの前のボタンをとめずに、ガバっとはだけていて、もちろん下のパンツにもそのシャツをいれないスタイルってありますよね。

あの格好、たまにすることがあったのですが、あの格好をやっている人も「オッサンだけ」だということに気がつきました。若い人は誰もやっていません。オバサンがやっていることはたまにあります。

はい。おそらく「やってはいけないすごく恥ずかしいスタイル」なんだと思います。

たまに、サングラスを長い髪の毛のヘアバンドみたいにしている人や、ポロシャツの襟を立てている人、カーディガンやセーターを腰に巻いている人なんかを「ププッ」って感じで笑っていたのですが、僕もかなり笑われるような格好をしていたというわけです。

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ちなみに僕は洋服を買いに行くのが恥ずかしくて恥ずかしくて、妻についていってもらってるんですね。妻は元有名アパレルで働いていたので、洋服屋さんでも堂々としているし、「最近の男性のパンツのカタチは~」とかって、店員さんにも気軽に質問出来るんです。

でも毎回ついていってくれるわけでもなく、洋服を買うのって僕にとっては「苦行」そのものなんです。

かと言って、最近は人前で話したり、写真を撮られたりすることもあるので、「林さん、そういう格好ってオジサンっぽい。ププッ」みたいな事態はどうしても避けたいわけです。そんなにお洒落に見えなくても良いけど、まあそこそこ世間と同じくらいの服装でいたいなあという気持ちです。

そして、たぶん、そういう僕みたいな男性って世の中にある一定数いると思うんです。

そういう人たちのために、こういうサービスがあれば良いのにと思うんです。

まず自分の身体のサイズを完全に計ってもらったもの(あの3Dプリンターを利用すると良いのでしょうか)を、その会社に送ります。

あとは、どういう好みなのか具体的に伝えます。僕の場合は常々「高校の社会の世界史の先生みたいな格好」をしたいなあと夢見ています。地味なんだけど、キチっとしてて、でもシャツとかネクタイがちょこっと気がきいている感じです。

そういう好みを伝えて、あとは「年間にいくら出せる」と予算を伝えておきます。

すると、定期的にお野菜が送られてくるみたいに、定期的に僕が着るべき洋服が送られてくるんです。で、やっぱり他人が選んでいるので「これはちょっと好みじゃないなあ」ってのも出てくると思うんですね。そういうのは「返品可能」なんです。

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あるいは冬、寒くなってくると「こういう寒くなってきたときってどんな服装だっけ? コートはダウンはもう着ても良いのかな」なんて悩むときもありますよね。

そういう「今日の日付と気温と天候と天気予報」なんかも入力されていて、「今日はこういう服装はいかがでしょうか?」って感じで、自分に送られてきた服装の中から選んで、上から下までのトータルコーディネイトも提案してもらえるというサービスもあります。

はい。朝、悩まなくて良いんです。朝、何を着て良いのかすごく僕は悩むんですね。で、妙に雪だるまになってしまったり、薄着で出てしまったりと何かと「服装、コーディネイト」って自信がない僕には、すごく便利なサービスだと思います。

 

世の中のほとんどの人が「ええ? 服はお店に行って、あれこれ悩むのが楽しいんじゃない。何言ってんの、林」と感じるというのはもちろんわかっているのですが、自信を持って、僕のような人間が一定量いると思います。

お見合いとか結婚相談所とかで出会った男性のことを「洋服の趣味がちょっと…」なんて感じでダメ出しをする女性っていますよね。そういう「何を着たらいいのかわからない」っていう男性にも「だったら、あのサービスに登録したら? 全部送られてくるから楽だよ」ってススメられるんです。

こういうことを告白すると「ちゃんとリアルとうまくやっていけている人」が「ええ?! そんな人いるの?」って必ず言う人が出てくるのは知っているのですが、、このサービス、必ず成功すると思います。というか、僕がまず利用します。

 

■著者について

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林 伸次

林 伸次 1969年徳島県生まれ。中古レコード店、ブラジルレストラン、バー勤務を経て、1997 年渋谷にbar bossaをオープンする。選曲CD、CD ライナー執筆多数。『カフェ&レストラン』(旭屋出版)、『cakes』で、連載中。著書『バーのマスターはなぜネクタイをしているのか? 僕が渋谷でワインバーを続けられた理由』(DU BOOKS)
また cakesの連載をまとめた恋愛本『ワイングラスのむこう側』、さらに最新作『バーのマスターは、「おかわり」をすすめない 飲食店経営がいつだってこんなに楽しい理由』が好評発売中。

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