ETHNOGRAPHY
新しい婚活? – 真面目に考える、クンクンからはじまる恋愛
僕は職業柄「カップル」を毎日たくさん見るのですが、「お似合いだなあ」とか「上手く行きそうだなあ」とか「息ぴったりだな」とか色々思うわけです。
もちろんその逆のこともよく感じるわけでして、そういうのって「何が原因なのだろう」ってよく立ち止まって考えます。
●お酒を飲む飲まない
これは結構難しいのではといつも感じます。例えばどちらかが「良いよ。良いよ。好きに飲んで」っていう態度だとうまくいくようですが、「どちらもそれなりにお酒が好き、か、全くあるいはほとんど飲まない」というカップルがうまくいくようです。
そしてこの感覚は同様に、「タバコを吸う吸わない」とか「外食が好き嫌い」とか、あらゆるシーンで違いをよく見かけます。
●金銭感覚が違う
これは育った環境も含めよくあるようです。最初のうちは「お金をあんまり考えずに使う」というのを見て、「さすが」とか「カッコいい」とか思うのですが、やっぱり途中からついていけないというのがよくあるようです。
●セックスがあわない
これもたまに聞きますね。女性がどうもあまりセックス自体が好きじゃないとか、お互いの好み嗜好の方向が全然違うということもあるそうですし、そもそもお互いのセックスが全然良くなくてしっくりあわないといったことも聞きます。これはなかなか難しい問題ですね。
●宗教、政治的にあわない
これは日本ではあまりないようですが、やっぱりたまに耳にします。ちなみにアメリカとかでは、その宗教や政治に関しては、そういうズレがないようにかなり初期に確認するという習慣があるようですね。
●親戚や友人との付き合い方が違う
親戚や家族をすごく大切にして毎年正月お盆に集まるって人もいれば、全然そんなことはしないという人もいます。あるいは友人との付き合い方も休日に一緒に旅行に行ったり、自宅に迎えてパーティをやったりするのが大好きという人もいれば、そういうのは好まないという人もいます。人との距離感が違うって結構問題になります。
なんてことを色々考えてしまいます。でも、やっぱりこれだけじゃないんですよね。なんかあわないってあるものなんです。
さて、「遺伝子から考える恋愛本」に必ず出ている説で、こういう実験があるのはご存知でしょうか?
数十人の男性の汗がしみこんだシャツを数十人の女性に嗅がせると、女性のそれぞれ全員が「好きな汗の匂い、嫌いな汗の匂い」が違うそうなんです。
「免疫」ってありますよね。「その人がどういう病気や細菌に強いか弱いか」というものです。
その「免疫のパターン」が自分と違っていれば違っているほど、「その人の体臭を好ましい」と感じるそうなんです。
結婚相手の男性の「免疫のパターン」が、自分とは違っていると、二人の子供の「免疫のバリエーション」がより多くなるわけで、二人の子供が長生きしやすいというわけなんです。
なるほど。だから「この男の人の体臭が好き」と思えば思うほど「二人はお似合い」というわけです。
「ブラジル人は付き合う前に一度セックスをしてから、付き合うかどうかを決める」のはご存知でしょうか。
それってたぶん「セックスの相性」ももちろん、「そういうお互いの体臭が好きかどうか」というような「人間が獣としての男女の好き嫌い」というのを確認しているんだと思います。
結婚してしまってから、「旦那さんの靴下の臭いがどうしてもイヤでしょうがない」なんて悲しい話、たまに聞きますよね。
獣同士だと、もちろんセックスの前にお互いの「匂い」はクンクンして、確認していますよね。
でも人間は最初にそんな「クンクン」なんて出来ないんです。
それで思うのですが、いわゆる「婚活パーティ」、この「クンクン」を取り入れたらどうでしょうか?
男性の汗がしみこんだシャツを、女性がクンクン嗅ぐと「あ、この匂い好きかも」って感じるのがあるらしいんです。
それってすごく「運命」ですよね。
それ、本当は大昔は僕たちはやってたはずです。
スペックとか見た目とかで始まる今の一般的な婚活、「何か違うなあ」、もっともっと根元的な「二人のフィーリング(死語ですが)」みたいなものが「ピタッ」と合わせるにはどうすれば良いんだろうってずっと考えてまして、「シャツの匂いを嗅がせる」ってこれから実は一番必要なのではと思います。
婚活をしている人たちが集まりますよね。で、男性の汗がしみこんだシャツをそれぞれ持ってきてもらって、女性が全部を「くんくん」していくわけです。そして「この匂い、私好きかも」って人と会ってもらうというわけです。
「うちの婚活は『シャツのクンクン』を取り入れてるんで、二人の結婚率、幸せ率がすごく高いんですよ」って未来、来たりしそうです。
■著者について
林 伸次
林 伸次 1969年徳島県生まれ。中古レコード店、ブラジルレストラン、バー勤務を経て、1997 年渋谷にbar bossaをオープンする。選曲CD、CD ライナー執筆多数。『カフェ&レストラン』(旭屋出版)、『cakes』で、連載中。著書『バーのマスターはなぜネクタイをしているのか? 僕が渋谷でワインバーを続けられた理由』(DU BOOKS)
また cakesの連載をまとめた恋愛本『ワイングラスのむこう側』、さらに最新作『バーのマスターは、「おかわり」をすすめない 飲食店経営がいつだってこんなに楽しい理由』が好評発売中。
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