ETHNOGRAPHY
細分化された情報は必要な人に届かなくなった – すべてのイベントを一箇所で確認できるサイト
最近、音楽好きのお客さまとよく話すことで、「〇〇の来日公演があったなんて知らなかった。昔は絶対にそんなことなかった」ということことがあります。
例えばポール・マッカートニー来日とか毎年やっている大きい野外フェスみたいなのは、知りたくなくてもテレビで話題になるので、もちろんわかります。
あるいは、自分の友人や知人やひいきにしている小さいレーベルが呼んでいるブラジルやアルゼンチンのアーティストの来日公演みたなのは、よく行くお店にフライヤーがあったり、誰かがSNSで告知していたりして、意外と「情報を見逃す」ということはありません。
でも、その真ん中のクラスのアーティストの来日公演が意外と、「え、来てたの、知らなかった」って言うのがすごく多いんです。
「キース・ジャレット、来てたんだ。その日だったら空いてたから行ってたのに」とか「ジョージ・クリントン来てたんだ。見たかったあ!」って感じです。
そして必ずそういう情報は誰かの「行ってきました」という報告をSNS上で知るんです。

Photo by Martin Fisch
そんな話をしていると、映画好きな人も、「映画もそう。昔だったら絶対に見逃さなかったのに、後になって『え、そんな映画、来てたんだ』っていうのがあるんだよね」ということです。
さて、昔はなぜ、「見逃さなかった」かというと、ぴあと音楽専門誌を丁寧にチェックしてたからなんです。
ぴあも別に全部スミからスミまで読んでいたわけではなくて、自分がチェックする箇所はだいたい身体でわかってて、「さー」っとチェックすれば、「あ、来日公演あるんだ」ってわかったんです。
さらに、ジャズが好きな人はジャズ専門誌を、ワールド・ミュージックが好きな人はワールド・ミュージック専門誌を昔は丁寧に読んでいたので、「え、このアーティスト、来るんだ。じゃあ絶対に行かなきゃ。こんなチャンスないよな」って感じでチェックしていたんです。
それを今はしなくなったんです。
もちろん、今でもネット上には膨大な「情報」はあるはずです。
例えば「来日公演」なんかは、主催者がかなりお金をかけて公式HPでカッコいいデザインのページを作って、バックミュージシャンの情報も書いて、有名な音楽評論家にオススメ記事を書いてもらっているはずなんです。
そして「なんとかして情報を音楽ファンに届けよう」と、いろんなネット上の広告を出したり、SNSで拡散してもらおうとしたり、しているはずです。
でも届かないんです。
あるいは「映画にでも行こうか」と妻と休日に思いついても、意外と「全部がわかる使い勝手の良いサイト」ってないんです。あるかも知れないのですが、グーグルの上位には出てきません。
僕のようなそんなに映画に詳しくない人間にとって、本当に観たい映画の情報にたどり着くのって、今は結構、困難です。
それで思いついたのがこういうサイトです。
もうマイナーなのもメジャーなのも、コンサートや映画や、あるいは美術展なんかも全部、ひとつの大きいサイトに、勝手に主催者が登録出来るようにします。もちろん、そこに書き込むにはその主催者が1公演1000円くらいの登録料が必要になります。
そしてその公演には登録者が、20個くらいの「タグ付け」が出来るんです。「ブラジル」とか「AOR」とか「DJ」とか「70’s」とか、まあ色々とタグ付けします。
で、そのサイトに直接行っても良いのですが、もうとにかくそのサイトだと全部網羅されているという信頼性があるから、みんながそこに登録して、「好きそうな公演や映画」があったら、SNSで情報が流れてきて、そしてその場で予約も出来るんです。

Photo by mkhmarketing
これ、ポイントは「とにかく全部が網羅されている」というところです。
たぶん、今、インターネット上で、細分化された形でそういう情報サイト、たくさんあるんだとは思うんです。
でも、みんないちいちその細分化されたサイトに「何か面白いコンサートあるかな?」なんてチェックしにいかないですよね。
でも、本当は行きたいし、そういう情報は知りたいんです。
そうなると、とにかく全部を網羅しているサイトを作って、そこから「自分が興味がありそうな情報」は確実にツイッターやFBのTLやメールやLINEなんかで教えてくれるっていうのがあると良いなあって思うのですが、どうでしょうか。
そして僕が望むものとしては、「今月あなたにオススメのコンサートと映画はこの10個です」って感じの情報のみで、興味があってクリックしたら詳しい情報があって、試聴できたりそのままそのページで予約できたりというものです。
誰か是非。
■著者について
林 伸次
林 伸次 1969年徳島県生まれ。中古レコード店、ブラジルレストラン、バー勤務を経て、1997 年渋谷にbar bossaをオープンする。選曲CD、CD ライナー執筆多数。『カフェ&レストラン』(旭屋出版)、『cakes』で、連載中。著書『バーのマスターはなぜネクタイをしているのか? 僕が渋谷でワインバーを続けられた理由』(DU BOOKS)
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