CASE STUDY

“自分”を共有できる場所が新しい出会いの場となる! – 『趣味の庭』というアイデア

top_logo

渋谷 Bar Bossaのマスターが、カウンターの中から観察した世の中の“不便”に斬新なアイデアを提案する連載!

実はここ1年の間に、「ネットで知り合って結婚した」っていうケースを6回も聞きました。

いわゆる「出会い系」ではなくて、「趣味の掲示板でやりとりをしているうちに」とか、「ブログにコメントを残してその後メールをやり取りして」とか、「SNSでやり取りしているうちに」ってパターンなんです。

結婚紹介所とかお見合いとかの「リアル出会い系」を使っている人はやっぱり「パッと見」とか「収入」とか「その場のコミュニケーション能力」とかで判断してしまうそうなんですね。

ネットの「結婚やお付き合い」を目的とした「出会い系」も結局は「写真」とか「学歴」とか「今の職業」とかそういうので判断するそうなんです。

でも、趣味の掲示板やブログのコメント欄やSNS上でのやり取りの場合は、学歴や収入といったスペックや、話しているときに冗談が面白いとか男性を持ち上げるといったコミュニケーション能力は問われないわけなんです。

「あ、そうそう、その作品、私も好きです」とか「僕もその箇所で泣きました。だったらあれは読みましたか?」とか「僕もそのお店、好きです」「でしたらあの料理は食べましたか」といったネット上のやり取りから関係を積み上げていくから、「共感」から「恋愛」へと発展して行きやすいんだと思います。

そして、同じような趣味や嗜好を持っている人たちは、後で蓋をあけたら、年齢や収入や環境なんかは似ている場合が多いと思うんです。

例えば「オペラが趣味」って人たちは他にも「小さい頃ピアノを習っていた」とか「ヨーロッパに留学したことがある」といった多くの共通点ありそうです。

あるいは「山登りが趣味」って人たちも、「旅行が好き」とか「外で動くのが好き」とか色んな共通点ありそうです。

「ある人と恋愛可能な異性」って日本に1千万人いるとします。その1千万人の中に、趣味や嗜好が「ピタっ」とくる相手、何十人かは確実にいると思うんです。

でも悲しいかな、「私たち」は出会えないまま、今日も「妥協した出会い」に「こんなものかな」と思って過ごしているんですよね。

で、こういうのを考えてみました。

気軽な無料の出会い系サイトなんですけど、外向きには「出会い系サイト」とはうたっていません。

800px-A_Typical_Sky

「趣味の庭」みたいなことをうたっています(タイトルは後で考えましょう)。

で、そこに入会する時に自分の趣味をとにかく全部、入力しなきゃダメなんです。

お酒を飲むとしたら、週に何回、どこで、いくらかけて、ワインなのかハイボールなのか、といったことを詳細に入力します。

政治的な姿勢も結構、重要です。原発は反対かとか、好きな国を3カ国とか、選挙はどこにいれているか、宗教ももちろん書きましょう。

もちろん趣味はありとあらゆるものを入力します。好きな作家、マンガ、音楽、スポーツ、料理、旅行、映画、俳優、お笑い。

そして、その「趣味の庭」で自分のアイコンを使ってSNSをやったり、掲示板に書き込んだりしますよね。

で、「この人の書いてること面白いな」と思って、その異性の人のアイコンをクリックしてみると、その異性の相手と自分との共通点が「80%」って表示されるんです。

そしてその共通点も「住んでいる地域が近い」とか「学校が同じ」とか「ユーミンの卒業写真が好き」とか全部を表示してくれます。

あるいは、「一番、共通点が多い異性はこの人です」って教えてくれるんです。

やっぱり「趣味や嗜好の共通点」が一番重なっている人って、「恋愛へと進む」のに一番近いと思うんです。

だって、「コーヒーというよりも紅茶で、マンガで一番好きなのは『ぼくの地球をまもって』で、音楽はビル・エヴァンスとブラームスで、スポーツは中学の時は卓球をやってて、今はマラソンと登山で、猫が好きで、魚は白身が好きで、信仰してるってほどじゃないけど、学校がそうだったから軽くカトリックへの気持ちはあって、お酒はあまり飲まないけどワインが好きで」とかって全部が重なっているとしたら、そりゃ話は盛り上がるし、「一度会ってみませんか?あなたが運命の人です」ってなりますよね。

ちなみにこれ「無料」なのは、みんなが入会しやすくするのと、その他に理由があります。

これ、マーケティングを扱っている会社がすごく利用できると思いませんか? 

ここの掲示板で新商品への感想も聞けるし、絶妙な広告も出せるわけです。好きなお店や映画なんかも一目でわかるし、色んな利用の仕方がありますよね。

なんか最後のアイディアがちょっと「ビジネスっぽい」ですけど、企業が色んな風に参加すると信用度が高まって、そこに参加しようとする一般の人も増えると思うんです。

単純に「出会いを探す」んじゃなくて、「あの趣味の庭に行ったら楽しい情報がいっぱいあるな」なんてところにすればうまくいくような気がします。

今回のBossa林さんのアイディアをジーリサーチと一緒にコラボして 実現をしたい企業様を募集しております。コチラからどうぞお問い合わせください!

著者について

picture

林 伸次

林 伸次 1969年徳島県生まれ。中古レコード店、ブラジルレストラン、バー勤務を経て、1997 年渋谷にbar bossaをオープンする。選曲CD、CD ライナー執筆多数。『カフェ&レストラン』(旭屋出版)、『cakes』で、連載中。著書『バーのマスターはなぜネクタイをしているのか? 僕が渋谷でワインバーを続けられた理由』(DU BOOKS)

林さんご登場ページ

■bar bossa http://www.barbossa.com/
■bar bossa Facebook ページ https://www.facebook.com/pages/Bar-bossa/497354880309586?fref=nf
■ボサノヴァ好き韓国人ジノンさんとの往復書簡ブログ http://theboyfromseoulandtokyo.blogspot.jp/
■cakes https://cakes.mu/creators/290
■ハフィントンポスト http://www.huffingtonpost.jp/shinji-hayashi/  

この記事をシェアする