CASE STUDY

全く新しい本の作り方を実現!? – 編集者年鑑.comというアイデア

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渋谷 Bar Bossaのマスターが、カウンターの中から観察した世の中の“不便”に斬新なアイデアを提案する連載!

最近、編集者という職業の人とやりとりをしていて、本当に実感するのは「本はほとんど全部、編集者が作っている」ということです。

例えば「映画は映画監督が作っている」というのはみんな当然だと思っていますよね。それと同じように、本は編集者が作っているんですよね。

そう、本当に映画監督と同じ立場です。

脚本家や、俳優、カメラマン、大道具、照明の人たちを集め操るように、編集者も著者、カメラマン、デザイナー、イラストレイター、印刷所とたくさんの人たちを束ね、操ります。

本って著者の作品だとずっと思っていたのですが、著者は映画における脚本家くらいの位置で、本を作っているのは編集者だったんですね。

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そして色々な編集者とやり取りをしていて、実感するのは本当にいろんなタイプの編集者がいるということです。

例えばメールにしても人によって全然違います。

一度も会ったことないけど、メールだけのやり取りで仕事をするという方もたまにいるのですが、そういう時こそその方の人柄がよく出ます。

ちょっとした言葉遣いで「あ、この人は信頼できるなあ。もう細かいことは全部この人にお任せして、僕は原稿だけ送れば良いんだ」って感じさせる人もいれば、「うーん、言葉は丁寧なんだけどどうしてこんなに上から目線なんだろう」って感じさせる人もいます。

一度、とても仕事がしやすかった方のメールはこんな感じでした。

ある雑誌の特集記事の文章をほとんど僕が書くという仕事だったのですが、毎回メールで「今回の特集でやることはこんなことです」と箇条書きして、「現在、決定しているのはこれです」、「まだ決まっていないのはこれです」、「先日、林さんとお話しして、林さんのアイディアはこういう形にしました」、「この記事については今、デザイナーと検討中でして、具体的な内容、字数は○月○日には決定するので、林さんにお伝えできるのは○月○日になります」って感じで全部、進行がわかるように説明してくれるんです。

あるいは、そんな細かいことは一切、メールで説明しないのですが、時々、「林さん、あれ良かったです。今度はこうしましょう」ってことをさらっと書く方もいて、その人に関しては滅多にそんなことを言わない人だから、すごく僕の心に届くというパターンもあります。

HarryPotterBooks

その方の哲学と言いますか、生きざまのようなものを感じることもよくあります。

例えば、プライベートで原稿とは違うちょっとバカな話しを延々として、すごくわかりあえたという空気を僕とその方の間に作ってから、作業に移るという人もいます。

とにかく「売れる」ということを一番に考える方もいます。「こういう見せ方のほうが」とか「こういう目次のほうが」とか「こういうタイトルのほうが」とか「書店ではこういう展開をしたほうが」といった感じで「本は商品である」というのを常に意識しています。

あるいは「面白いことがやりたい」というのを常に考えている方もいます。「こんな本って今までなかったよね」とか「これを世の中に問いかけたら面白いんじゃないかな」といった発想で本をつくっています。

ひとことで編集者といっても、本当にいろんなタイプが存在するんですよね。

Open Book edit a thon 5 Sept

ここでまた「新しいサイトの提案」なのですが、「編集者年鑑.com」ってどうでしょうか。

今、日本の面白い編集者を200人くらい、アイウエオ順で紹介しています。

プロフィールや代表作はもちろん、「今、こんな本を作りたいんだけど、ライターさん出版社さん募集」みたいなことも書いていてその方の宣伝にもなり、その情報を見るために多くの書籍関係者がチェックするという場所でもあります。

このサイトはそれだけでは終わりません。

ある生原稿を「ポン!」と5人の編集者に渡して、「さあ、あなたならどんな本に仕上げる?」みたいな企画もあります。面白くないですか? ある編集者はその原稿をこういう風に修正して、こういうリードを付け足して、カメラマンにこういう写真をお願いして、装丁はこういう人でというのを提案してもらうんです。5人それぞれの特徴の出た本が出来て、「本って編集者なんだなあ」と実感するはずです。

あるいは「夢の本」みたいな企画もあります。例えば、原稿は夏目漱石に「春に飲むお酒」という趣旨のエッセイをお願いして、イラストはパウル・クレーにワインのボトルの絵をお願いして、という感じの「夢の本」みたいなものを企画、提案してもらうんです。

もちろん「ネット上でのコンテンツを作る」というネット・ユーザーを意識したページもあります。今、インターネット上では様々なコンテンツがあり、多くの編集者が面白いコンテンツを作っていますが、それらを紹介したり、関係編集者を集めて、「紙媒体とネット上のコンテンツの違い」とか「これからのインターネットの未来」なんてことを語り合って貰ったりもします。

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広告もたくさんとれそうな気がします。

「編集者年鑑.com」にのるようになったら「一人前の編集者」って認められる、とかって面白くないですか。

今回のBossa林さんのアイディアをジーリサーチと一緒にコラボして 実現をしたい企業様を募集しております。コチラからどうぞお問い合わせください!

著者について

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林 伸次

林 伸次 1969年徳島県生まれ。中古レコード店、ブラジルレストラン、バー勤務を経て、1997 年渋谷にbar bossaをオープンする。選曲CD、CD ライナー執筆多数。『カフェ&レストラン』(旭屋出版)、『cakes』で、連載中。著書『バーのマスターはなぜネクタイをしているのか? 僕が渋谷でワインバーを続けられた理由』(DU BOOKS)

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