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NO.9 新宿区・神楽坂の細道

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No.9 神楽坂の細道 東京一有名な細道 長さ 340メートル 最狭幅 1メートル 歴史度 ★★★     狭隘度 ★★★★ 魅力度 ★★★★

No.9 神楽坂の細道
東京一有名な細道
長さ 340メートル
最狭幅 1メートル
歴史度 ★★★    
狭隘度 ★★★★
魅力度 ★★★★

 じわじわと人気が出ていた神楽坂の街だが、数年前に男性アイドルタレント主演のドラマの舞台となって大ブレイク。全国から女性が押しかける人気スポットとなった。以来、街の変貌ぶりは凄まじく、メインストリートとなる早稲田通り沿いには新しいビルが次々と建ち、周囲にはマンションも続々とできているが、花街の風情を残す細道もまだまだ健在だ。というか、その細道がやはり神楽坂の大きな売り。それを残していかなければ神楽坂の魅力半減だ。そんなわけで神楽坂の細道はいまや東京一有名だ。行ったことはなくても、写真を目にした方は多いはず。

 神楽坂という地名の由来ははっきりしない。江戸時代すでにこの名があったが、近所の神社で神楽を奏でたのが聞こえたから、などと言う。江戸城外堀の牛込門にまっすぐ続く坂道で、重要な道だった。江戸時代は旗本屋敷が中心の街で、神楽坂上から先には寺院も多かった。

 飯田橋駅西口から今は早稲田通りとなった坂道を登り、毘沙門天善国寺を過ぎて右にある最初の横道を入る。道の向こうに神楽坂のイメージとはそぐわない高層マンションがそびえ立つ。このマンションがあるあたり一帯に、江戸時代から明治40年頃まで行元寺(行願寺)という大きなお寺があった。道はその参道である。

 江戸時代からこのお寺が境内を貸すようになり、そこに岡場所(売春宿)が作られ、それが神楽坂の花街の元になったという。明治になって旗本屋敷がなくなったあとに料亭などが次々とでき、大正から戦前にかけては、東京でも有数の花街となった。

 横丁を入った左手、民家風の店は女性に人気の和風カフェ。そこの十字路を右に進むと目の前は小公園だ。寺内公園といい、かつて行元寺があったことをしのぶ解説板がある。それによると、このあたりには勝新太郎など有名人も多く住んでいたという。

寺内公園。左手の高層マンション建設と同時に10年ほど前にできた

寺内公園。左手の高層マンション建設と同時に10年ほど前にできた

 公園右の細い道には石畳が残る。最近公園ができるまでは、ここにも車は入れなかったと思う。奥には妙にねじれた狭い階段が続く。いい細道の風情だ。

寺内公園先の階段

寺内公園先の階段

 ところがである。

 最近まで階段の左にあった狭い空き地で、先日見に行くとなにやら工事をしていた。手前右側でも巨大クレーン車が入って工事中。こんな風にどんどん変わっていくが、道の風情は残してもらいたいものだ。

 階段を登るとそこから先は小さな四角い石が敷き詰められた石畳の道になる。

石畳の道が神楽坂のトレードマーク

石畳の道が神楽坂のトレードマーク

 神楽坂の細道は、このデザインの道が多い。道に従って進むと細道の十字路に出る。ここを右に行くと今回の細道最狭の通りだ。

都会の峡谷も生活道路だ

都会の峡谷も生活道路だ

 植木鉢がズラッと並んだ先はビル外壁の峡谷で、そこを抜けると早稲田通りに出る。横を見なければまず見過ごす通りだ。

 早稲田通りを飯田橋駅方向に戻り、すぐに左に入る。やや広い道の左は常に女性の行列があるはずだ。おいしいガレットの店がある。近くに日仏学院があるせいか、近辺に住むフランス人も多く、フランス料理店も多い。ここもオーナーはフランス人だ。

ガレット店前から見た神楽坂のシンボル毘沙門天善国寺

ガレット店前から見た神楽坂のシンボル毘沙門天善国寺

神楽坂の街には猫が似合う

神楽坂の街には猫が似合う

 さて、道は左に折れて先ほどの細道十字路に出る。今度はここを右に行くと、神楽坂でももっとも有名な細道の兵庫横丁だ。このあたりは以前は旅館が多く。文豪たちが缶詰めでで原稿を書かされる界隈として知られていた。道は石段を下り、石塀、生け垣、土塀などに囲まれた美しい道になる。

東京メトロのポスターで堀北真希ちゃんが猫と戯れていたのはこのあたり

東京メトロのポスターで堀北真希ちゃんが猫と戯れていたのはこのあたり

この景色、どこかで見た方も多いはず

この景色、どこかで見た方も多いはず

 両側には料亭、旅館が並ぶ。そこを抜けていくとまもなく軽子坂から続く道だ。

 ご案内したルート以外にも、かくれんぼ横丁、芸者新道、神楽小路など、趣のある細道が周囲にはたくさんある。ぜひ自分の足で楽しんでいただきたい。

かくれんぼ横丁

かくれんぼ横丁

芸者新道から続く細道

芸者新道から続く細道

■細道を実際に散歩した動画です。
※黒田さんのナレーション付き!

細道とは
 ここで紹介する細道は、私・黒田涼の独断で選んだものだが、おおまかな定義は頭にある。
まず、表通りから見えにくく、歩く楽しみと驚きのある狭い道が条件。
自動車は通行できないが、公道もしくは近隣の生活道路として機能していること。
歴史が古く、曲がりくねってアップダウンがあればなおよい。

■著者紹介
黒田 涼(くろだ・りょう)

  • 作家・江戸歩き案内人
  • 大手新聞社にて記者を16年務めるなど編集関係の仕事に携わったのち、2011年に作家として独立。現代の東京に残る江戸の痕跡を探し出すおもしろさに目覚め、江戸歩き案内人として各種ガイドツアー講師などの活動も行っている。江戸と言われる範囲をのべ2000キロ歩いて探索。江戸の街の構造、江戸城はもちろん、大名屋敷、寺社、街の変遷などに詳しい。
  • 各種講座や講演講師、NHKはじめテレビ・ラジオ、新聞、雑誌などの媒体露出多数。「江戸城天守を再建する会」参事 専門委員。

■著書
※各書籍名はAmazon.co.jpへリンクされています

■講師歴

  • 「江戸城天守を再建する会」江戸ウオーク講師 2010年〜
  • 雑誌「いきいき」江戸ウオーク講師 2010年〜
  • 淑徳大学公開講座講師 2010年〜
  • 新宿歴史博物館講演 2011年、2012年
  • 千代田区シンポジウムパネリスト 2012年
  • 三越 日本橋街大學講師 2014年〜

■ブログ
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